温泉への影響前提に議論を―地熱発電
<日本温泉協会が全国の意見集約へ>
日本温泉協会(廣川允彦会長)は2月13日、東京都内で県温泉協会連絡会議を開いた。環境省が2月3―22日まで「温泉資源保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」(案)に関するパブリックコメントの募集を行っており、日本温泉協会としての意見の集約と、今後の対応について議論した。
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2010年6月18日、「再生可能エネルギーの導入促進に向けた規制の見直し(自然公園・温泉地域等における風力・地熱発電の設置許可の早期化・柔軟化等)」が閣議決定された。これを受けて、環境省は地熱発電を推進するための掘削許可の判断基準の考え方を策定するガイドラインをつくる検討会を2つ作った。1つは「地熱資源開発に係る温泉・地下水への影響検討会」と、もう1つは「地熱発電事業に係わる自然環境影響検討会」。このほど、地熱資源開発に係る温泉・地下水への影響検討会の「温泉資源保護に関するガイドライン(地熱発電関係)」(案)がまとまり、中央環境審議会を経て2月3―22日までパブリックコメントの募集が行われている。
連絡会議では、各県の温泉協会の代表や学術部委員から、「ガイドラインを各県の許可をする担当者が見ても、数値などがまったく示されていないので、どう対応していいのか判断に困るだろう」という意見や、「地下にあるのが熱水で、地上に出たのが温泉。同じものであるのに、ガイドラインでは熱水と温泉が別なものであるかのように扱われている」というような見解も示された。また、「県境の場合、隣県の調査が行われないのではないか」というような問題も議題に上がった。
さらに、「開発側からは『温泉に影響を与えるデータがない』と言われるが、日本温泉協会としては『温泉への影響のおそれがあるという前提で考えていただかなくては困る』」という立場で意見を集約する考えだ。
佐藤好億副会長・地熱対策特別委員長は「環境省のパブリックコメントに対して、各県温泉協会の個別の意見と、日本温泉協会としてまとめたものを提出したい」と語った。