3年越しの1100億円達成へ、原点回帰 地元客獲得から
近畿日本ツーリスト協定旅館ホテル連盟(西野目信雄会長、2698会員)は2月14日、東京都内のホテルで第54回通常総会を開いた。昨年の宿泊券販売は、東日本大震災などの影響により目標1100億円の 86%、950億円と2年連続の未達に終わった。12年度は「KNTと連携を強化して宿泊券増売をはかるとともに、KNTの方針に沿いながら地域の特性を活かした事業を展開する」を基本方針に掲げ、宿泊券目標は3年連続の1100億円 に定めた。本部会長改選では、西野目会長の3期目の続投が全会一致で了承された。
西野目会長は「震災後、早急に正副会長会を開き、『このままであれば旅連の事業は成り立たない。3割は減るだろう』と予測した。しかし、お客様はゴールデンウイークから復調し、夏休み商戦、秋の旅行へ、徐々に動き始めた。目標未達に終わったが、宿泊券販売950億円は各地のKNTサイドが最後の最後まで粘った数字。本当に感謝を申しあげたい。3年越しとなるが、今年こそ宿泊券1100億円達成に向け一致協力していきたい」と語った。また、原点回帰を強調。「旅館ホテルの商売は地元のお客様から始まった。そこを取り込まずに県外、海外はないと自分に言い聞かせている。地域ごとに文化は違い、やり方は違うが、地域のお客様を取り込むことから、もう1回始まるべきで、旅連も一部事業はそうした形で進めて行いきたい」と語った。
旅連事業は、「情報連絡全国ブロック会議」や「Web委員会」「インバウンド委員会」など従来の活動を継続。新たな事業計画では、各連合会から1、2人の次代を担う経営者、KNTから幹部社員をメンバーとする「未来創造委員会」を設置し、旅連の将来像、中期的な計画方針を協議する。
そのほか、KNTと協力して宿泊アンケートを活用した評価指標を作成し、13年度から共有を始める。「旅行形態がこれだけ個人化するなかで、お客様の評価は大きなウエートを占める。KNTならではのものを立ち上げたい」(西野目会長)。
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<宿泊券の目標必達、営業力強化へ組織再編―吉川社長>
KNT旅連の総会でKNTの吉川勝久社長は「宿泊券目標1100億円に対し、950億円という結果に終わった。震災はあったが、未達は未達」と陳謝した。3年連続で定めた宿泊券販売目標1100億円については、「発地と着地のニーズを融合させ、目標は必達する。そして将来の夢を語り合いましょう」と決意表明した。また、「2年連続の黒字決算の見込みであるが、費用削減によるところが大きく、本来の営業力を強化しなければならない。そのため事業構造改革を1月から一段進めている」と報告した。
事業構造改革で同社は1月から東名阪(東京・名古屋・大阪)地区の旅行事業に集中する。そのほかの地区(北海道・東北・中国四国・九州)については、それぞれの地域旅行会社における地域密着営業を推進。また、商事事業についても商事専門会社を新たに設立し、営業展開する。
同社内の組織は、5事業本部体制から団体旅行部門と個人旅行部門の2部門体制に再編。営業力強化とともに効率化も推進する。吉川社長は「団体旅行事業は、今までの関東、首都圏、中部、関西の4営業本部にECC部門、国際旅行部門を加え、法人、団体への提案型旅行や、教育旅行周辺事業の拡大、スポーツによる地域振興を切り口とした新しい需要開発を目指す。個人旅行事業は、提携販売部門を加え、KNTツーリストを含めて、商品造成と販売、リアル販売とウェブ販売の一体運営をはかっていく」と説明した。
海外展開については、新たな拠点の設置によるネットワークの拡充をはかる。5月には台湾にKNT台湾を新設する。