モニター旅行に注力、“連合体”の強み軸に
バリアフリー旅行ネットワーク(平森良典会長、96会員)は2月29日、東京都内で2012年度の定例総会を開いた。12年度は観光庁のユニバーサル観光促進事業でバリアフリーモニターツアーが各地で実施されることなども踏まえ、同会でも引き続きモニターツアーに注力。旅行会社や宿泊、運輸などすべての関係者が参加することで今後の受け入れに生かしていく。
観光庁のユニバーサルツーリズム検討会の委員も務める平森会長は、「各団体が素晴らしい活動をしているが、バリアフリー旅行ネットワークの立ち位置として何ができるか。我われの強みは旅行業や宿泊業、運輸業、福祉教育関係者、個人でUDに携わる人たちの連合体という点だ。12年度はこの連合体を軸に事業を進めたい」と意気込みを語った。
11年度の事業は研修会や意見交換会などの実施、ホームページやメールマガジンなどの多様な情報発信を展開。また、個人会員制度の「サポーター会員」の設置や全国旅行業協会(ANTA)の機関紙「ANTAニュース」で連載を開始したことなどで新規会員が大幅に増加した。一方、会員のアンケート調査の収集が不十分で観光庁に提出できなかった点などを反省材料にあげた。
12年度の事業は「誰もが安心して旅行を楽しむ実践」をスローガンに、ユニバーサルツーリズム先進事例のモデル化と移動制約者のニーズを踏まえた観光地の環境改善を掲げる。意見交換会やモニターツアーなどの実施で、発地域と着地域を結んで観光ユニバーサル社会の構築をはかる。また、そのためにも旅行会社会員をすべての都道府県に拡大することを目指す。さらに、旅行業部会や運輸業部会、宿泊業部会の各部会のパートナーシップを強化し、意識の共有や情報共有をはかっていく。
総会後は平森会長が登壇して講義を実施。そのなかでバリアフリー旅行推進のために、宿泊施設に求めることとして、トイレや入浴施設など必要な設備の情報公開をあげた。「設備は今あるものを詳細に教えてほしい。車イスが通れる幅なのか、手すりはあるのかなど確認事項は多い。ただ、ハード面はソフトでカバーできることもあるので、意欲がある施設は相談してほしい」と呼び掛けた。
さらに、その後は全国から集まったさまざまな事業者の会員が2グループに分かれて、バリアフリー旅行の推進や同会の方向性などについて率直な意見を交わした。