No.305 時音の宿 湯主一條 - 客室減らして客単価アップ
時音の宿 湯主一條
客室減らして客単価アップ
厳しい市場環境にありながら、高品質のおもてなしサービスを提供しお客様を集客している旅館が多くある。このような旅館は従業員の職場環境を整え、お客様と真摯に向かい合える仕組みができている。今回からスタートする「いい旅館にしよう!」プロジェクトでは、先進的な取り組みをしている旅館経営者と、産業技術総合研究所の工学博士・内藤耕氏が「コストをかけない経営改革」について語り合う。第1回目は、客室を減らして、客単価を大幅にアップさせた、宮城県・鎌先温泉の時音の宿 湯主一條の一條達也社長だ。
【増田 剛】
≪「いい旅館にしよう!」プロジェクト≫ シリーズ(1)
― 時音の宿 湯主一條
【対談者】
一條 達也(いちじょう・たつや)氏
時音の宿 湯主一條代表取締役
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内藤 耕(ないとう・こう)氏
産業技総合研究所サービス工学研究センター副研究センター長(工学博士)
■一條:私は2003年6月に20代目の社長に就任した。先代が亡くなり事業を継承したわけですが、初めて会社の内部事情と経営の大変さを知りました。
当時は、観光客向けの旅館部の客室が26室、木造建ての湯治部の部屋が41部屋で計67部屋。勤めていた東京のホテルから帰ってきた1999年から社長になる03年までの4年間も、次第に客足は遠のいていった。湯治部はエアコンがないので、夏は暑いし冬は寒い。鍵はかからないし金庫もない。東京のホテルで普通にあるものがまるっきりなかった。自分の家よりも環境の悪いところにお客様がお金を出して泊まりたいわけがない。温泉を目的に来る人が減っているのに宿の考え方を変えられなかったのです。
※ 詳細は本紙1455号または3月27日以降日経テレコン21でお読みいただけます。