風評被害対策で36億円、西日本豪雨の支援パッケージ閣議決定
2018年8月3日(金) 配信
政府は8月3日、西日本豪雨からの復旧復興に向け総額1058億円の「生活・生業再建支援パッケージ」を閣議決定した。観光面では風評被害対策などで35億9600万円を充てる。今夏の本格的な旅行シーズンから、宿泊料金1人1泊最大6千円を支援するなど、早期に需要喚起をはかっていく。
被害が大きかった岡山や広島、愛媛などで宿泊予約キャンセルが相次いだ。それぞれの自治体の発表によると、岡山は約10万人、キャンセル総額は約10億円に上る見通し。広島は約18万人泊で、影響額は45億円とする。愛媛は約7万人、影響額は約17億円を見込む。
観光庁によると今回の風評被害防止策は3つ。周遊旅行、ボランティアの促進と、代替的交通手段の活用による旅行促進となる。支援期間は9月下旬のシルバーウイークまでを見通す。
支援地域は11府県(岐阜、京都、兵庫、鳥取、島根、岡山、広島、山口、愛媛、高知、福岡)と広範囲になった。このため被害が大きかった岡山、広島、愛媛では1人1泊当たり6千円、他県は4千円ほど宿泊料金を支援する。「2県以上、2泊以上」が割引条件となる。
ボランティア登録者が2泊以上の宿泊をした場合も同様に、岡山、広島、愛媛では1人1泊当たり6千円、他県は4千円料金を割り引く。
被害の少ない観光地への交通手段が寸断されていることで、風評被害が生じる可能性のある地域も支援する。レンタカーを含む公共交通事業者が、これらの地域に発着する代わりの輸送手段を廉価で提供すると、本来の料金との差額をまかなう。
このほか、日本政府観光局(JNTO)で海外プロモーションを集中的に行う。プロモーションの対象市場や開催時期、内容は被災自治体などと調整し詰めていく。
一方、地域では復旧も進んでいる。8月3日時点では、岡山桃太郎空港の運航状況は通常通り。山陽や中国、岡山自動車などの高速道路の不通区間はない。広島から愛媛を結ぶ人気の「しまなみ海道」のサイクリングロードも復旧し、ほとんどの施設が通常営業している。大きく取り上げられていた呉市は「大和ミュージアム」「てつのくじら館」「入船山記念館」のほか、市街地の宿泊施設も通常通り営業。JR線で不通の区間や臨時ダイヤもあるが、代行バスを走らせている。
今回の豪雨災害は広範囲に及んだ。政府としても地域の実情やニーズに対応した対策を講じていく方向だ。8月3日の会見で菅義偉内閣官房長官は「必要に応じて追加の対策もしていきたい」と、引き続き支援の手を緩めない考えを強調した。