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「観光地域づくりプラットフォーム推進機構」発足シンポ

2012年4月1日
編集部
清水愼一会長
清水愼一会長

<新しい観光地域づくりの推進母体に>

 日本観光振興協会が事務局を務める「観光地域づくりプラットフォーム推進機構」(会長=清水愼一立教大学観光学部特任教授)がこのほど設立し、3月2日に東京都内で発足記念シンポジウムを開いた。「観光地域づくりプラットフォームによる地域イノベーション~観光地域づくりの組織と人を考える~」をテーマに基調講演やパネルディスカッションを実施。全国から観光関係者約150人が参加し、登壇者の話に耳を傾けた。

 冒頭のあいさつで清水会長は「環境が様変わりし、従前のような観光振興では立ち行かなくなった。いかに地域が豊かになり、来訪者も満足するかを思考していったところ、辿りついたのが観光地域づくりプラットフォームだ。ポイントは縦割りをどう乗り超えるかと地域と来訪者をつなげ、いかに満足してもらうかというマネジメント。はっきりした解答はまだないが、日本の観光を革新しようとする人たちの組織なので、それをネットワークしさらに高め合っていくのが機構の狙いだ」と語った。

 観光地域づくりプラットフォームや機構の詳細については大社充代表理事(グローバルキャンパス理事長)が「観光関連事業者だけが取り組む観光振興から、地域住民も含め、農商工との連携や6次産業化で交流人口を拡大することで地域を元気にしようというまちづくりを含めたものに変わってきた。主体がマーケットサイドから地域になり、地域は商品を作って売り、来訪者をもてなしていくという機能を内部に設置しなければならなくなった」と説明。この新しい観光地域づくりの推進母体が観光地域づくりプラットフォームで、機構は各地の組織が情報交換を行い、課題解決に役立つ研修や研究を行っていくという。

清水愼一会長
清水愼一会長

 具体的なプラットフォームの取り組み事例として、小値賀観光まちづくり公社専務の高砂樹史氏が「小さな島の未来への挑戦」と題して、長崎県小値賀町での取り組みを語った。高砂氏は少子高齢化が進む島で「観光は手段。次世代に島をつなぐためのもの」と断言。そのための組織づくりとして、2006年にそれまでの観光協会と自然学校、民泊の組織の3つを統合し、NPO法人として「おぢかアイランドツーリズム協会」を設立。半年間話し合い、地域で議論を重ねた結果だったが、これが大きな転機になったという。併せて、株式会社「小値賀観光まちづくり公社」も設立し、第3種の旅行業登録を取得。協会で体験メニューを担当し、会社は顧客からの問い合わせや要望に応じた手配など、両者の役割を分担しながら動いていることが成功の秘訣だと語った。

 一方、大々的な改革を行ううえで、最も難しいのは島の人たちにコンセンサスを求めることだとし、「全員一致は無理。いつも49対51で進めてきた。実績を出していけば反対の人が賛成に変わっていく」と信念を貫き、結果を出すことが重要だと話した。

 最後はコンセプトを覆さないことの重要性も強調し、「『おぢからしさ』を大切にすることと、経済に貢献して若者が暮らせる島にすること。この2つを念頭に一人ひとりが判断している。例えば250人が限度の修学旅行は、257人の場合でも勇気を持って断る。これを守っていくことが大切だ」と語った。

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