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高齢添乗員の戦力化、ガイドラインで雇用促進

2012年4月11日
編集部

 日本添乗サービス協会(TCSA、山田隆英会長)はこのほど、「添乗サービス業高齢者雇用推進ガイドライン 高齢化するベテラン添乗員の戦力化に向けて」を作成した。TCSAは2010年から2年間、高齢・障害・求職者雇用支援機構から産業別高齢者雇用促進推進事業を委託し、添乗サービス業で高齢者の雇用促進を促すことを目的に、さまざまな調査研究や課題の整理などを行ってきた。今回のガイドラインでそれらをまとめ、今後は普及に向けセミナーなどを実施する予定だ。

 ガイドラインはまず、Ⅰ部で添乗サービス業の高齢化の現状を提示。これによると、2005年に実施した調査で30歳未満は36・4%だったのに対し、2011年調査では16・7ポイント減の19・7%まで減少。比較して、50歳以上は05年の5・7%から11年は9・7ポイント増え、15・4%となった。

 11年度に実施した「高齢化する中堅・ベテラン添乗員の今後の活用に関するアンケート」でも、「自社の添乗員の高齢化が進んでいる」と認識する派遣会社が6割を超えている。しかし、このなかで「60歳を超えても添乗員として仕事が続けられるような工夫や取り組みをしている」と回答する会社は2割にとどまり、高齢化対策への取り組みは進んでいない実態が浮き彫りになった。

 一方、活用に対する認識は「60歳を超えても活用する」という会社が61・5%と半数を超えており、活用に対する意欲は高いとみられる。ただ、活用理由の条件として「スキル、経験」「体力、気力、やる気」「高い評価」を備えていることが前提となっており、健康上の不安や周りの意見を聞かない頑固さ、自己流のスタイルに固執してしまうようでは活用を控えるという声があがっている。

 また、添乗員自身への調査でも50歳以上の添乗員に対して、60歳を超えてからの働く意志を尋ねると「続ける」と「すでに超えているが、可能な限り続ける」の合計が64%となり、意欲の高さがうかがえる。

 他方、顧客である旅行会社の認識は「健康でお客様からの評価が高ければ、年齢にこだわる理由がない」という意見が多く、経験に裏打ちされる能力も評価しているが、同時に「お客様に寄り添う気持ちの薄れ」などマイナス面についても触れている。

 実際のツアー参加者への調査によると、「高齢=ベテラン添乗員」と認識しており、知識の豊富さなどを期待していることが分かった。

 2部では、これらの調査をもとに抽出した阻害要因から、高齢化するベテラン添乗員の戦略化に向けたポイントを整理。(1)高齢化するベテラン添乗員活用に関する派遣会社としての方針の明示(2)添乗スタイルや仕事ぶりの定期点検を通じた添乗のあり方の見直し(3)高齢に向かうベテラン添乗員に対する節目ごとの面談の実施(4)高齢化したベテラン添乗員の活躍の場を広げるための機会作り(5)健康・体力の維持、管理に向けたサポート(6)適切な評価やランク付けを目指した制度、システム作りの検討――の6点をあげ、具体事例なども示しながらチェック項目やシートなどを盛り込み、各社が利用しやすいような体裁に仕上げている。

 このほか、3部では55歳前後で他業界から添乗職に転職した「キャリアチェンジ組シルバー添乗員」について掲載。人材確保策の1つとして、活用するメリットや実際の体験談などを紹介している。 

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