全国との絆、今夏開花、福島ひまわり里親プロジェクト
福島県と全国各地との絆づくりや、原発事故被害の風化対策に取り組む「福島ひまわり里親プロジェクト」(半田真仁代表)が今年2年目を迎えた。全国から福島県へ届けられたヒマワリの種が県下各地に植えられ、今夏大輪の花を咲かせる。活動メンバーの一員で、各温泉地との橋渡しに奔走する匠のこころ吉川屋(福島県・穴原温泉)の畠正樹企画室長に事業の概要を聞いた。
【鈴木 克範】
≪復興の象徴として≫
昨年、福島復興のシンボルとして、土壌から放射性物質を吸収するヒマワリを植える動きが広がった。効果については後日、農林水産省が実証実験で「除染効果は実用的でない」と結論づけたが、ヒマワリには見る人を元気にさせる力がある。県内の多くの場所でたくさんヒマワリを植え、被災した人たちに元気と勇気を与える活動はできないか。そんな思いから「福島ひまわり里親プロジェクト」が発足した。
≪事業の目的は4つ≫
里親プロジェクトは、ヒマワリの育成を通じて、福島と全国各地が結ばれる仕組みだ。プロジェクト事務局からヒマワリの種を購入し、育ててくれる里親を全国から募る。そこで収穫した種を今度は福島県下に植えていく。
事業には、県内の雇用対策、風化対策、絆づくり、観光振興という4つの目的がある。販売する種の袋詰めを県内の障がい者の作業所に依頼し、雇用を生み出した。里親としての関わりは「福島を忘れない」という風化対策につながる。さらに交流サイクルを築き、続けることで絆を深めていく。観光面では、県外から直接ヒマワリの種を届けてもらうことや、咲く姿を見に来てもらうことが期待できる。
昨年は福島以外の全国46都道府県、約1万6千カ所に里親が誕生。収穫された種は手紙やメッセージとともに続々と届けられた。早速、福島交通飯坂電車で直筆メッセージを展示した「ひまわり復興列車」が運行(5月連休まで)されるなど、新しい取り組みの輪も生まれた。3月からは新しい里親の募集も始まった。
≪里親との交流も≫
全国の里親さんとの交流も必要。福島県旅館ホテル生活衛生同業組合青年部が中心となり、ヒマワリをキーワードにした研修会も行われた。応援メッセージの展示やヒマワリの迷路づくり、見学バスツアーなど、アイデアは尽きない。このほど誕生したマスコットキャラクター「ひまぽぽ」君の商品展開も考えたい。
届いたヒマワリの種は福島復興への思いが詰つまった「希望の種」。大きな財産を役立てられるよう、仲間と取り組みたい。
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プロジェクトの近況は公式ホームページ(http://www.sunflower-fukushima.com/ )から。