“観光に成長性あり”JNTOとの役割明確に
4月1日付で新しく観光庁長官に就任した井手憲文長官は4月20日に、就任後初となる会見を開き、(1)インバウンドなどの需要の創造と強化(2)観光産業全体の強化(3)観光庁の組織力アップなど就任の抱負を語り、「観光は成長性のある分野」と力を込めた。
井手長官は就任の抱負として「中長期的に冷え込む日本経済のなかで、観光は成長性のある分野。坂の上の雲を目指して力を尽くしたい」と語った。
インバウンドでは、「震災からの回復に万能薬はなく、これまで行ってきた海外メディアの招聘や海外の旅行会社への情報発信など、さまざまな手段を組み合わせて着実に行っていく」と語り、「国別だけではなく需要のセグメントに分け、きめ細かい対応が必要」と話した。また、観光客数の数値だけでなく、観光産業全体の強化について強調した。
観光庁の組織運営については、「観光は幅広い分野なので、観光庁職員には幅広く深いノウハウと熟練のスキルが必要となる。
観光プロモーションのイベントを実施して終わりなど、表面的なことに満足せず、職務をまっとうしたい」と力を込めた。
また、日本政府観光局(JNTO)との役割分担について触れ、「企画をする観光庁と、海外事務所を通じての発信などの実務を行うJNTOとの役割分担をもっと明確にし、連携を深めたい」と話した。
溝畑宏前観光庁長官については、「リーマンショックよりも落ち込みの激しい一番難しい時期に、大変な努力をしていただいた」と評価。前長官へ海事局長時代に、風評被害への対策として中国・韓国へのトップセールスや放射線量の数値発表を助言したことを明かし、「海事局でも、欧米の定期船が東京湾に入れないなどの状態になり、放射線量の数値を計測し発表するなど、対応に追われた。溝畑前長官とは、震災後の国土交通省の会議で隣に座り、励まし合いながらともにがんばった」と語った。
<東北への数次ビザ、夏までには解禁へ>
3月末に開かれた第3回観光立国推進本部で、外務省が、沖縄を訪問する中国人観光客への数次ビザを、被災地3県へ拡大するよう関係省庁と協議を始めていると明かした件について、「外務省と話しており、夏くらいまでには、東北への数次ビザが解禁できるのではないか」と見通しを語った。