No.309 熱川プリンスホテル - スタッフ全員で「整理整頓」
熱川プリンスホテル
スタッフ全員で「整理整頓」
品質の高いおもてなしで、お客様の強い支持を得て集客している旅館は、従業員の職場環境を整え、お客様と真摯に向かい合える仕組みができているのが特徴だ。「いい旅館にしよう!」プロジェクトのシリーズ第3弾は、静岡県・熱川温泉の熱川プリンスホテルの嶋田愼一朗社長と、産業技術総合研究所の工学博士・内藤耕氏が客室を潰してパントリーに改装することによって、スタッフから「働きやすい」という声が上がったほか、バックヤードを「徹底的に整理整頓する」ことで生産性が大きく向上した事例などについて話し合った。
【増田 剛】
≪「いい旅館にしよう!」プロジェクト≫ シリーズ(3)
熱川プリンスホテル
【対談者】
嶋田 慎一郎(しまだ・しんいちろう)氏
熱川プリンスホテル代表取締役
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内藤 耕(ないとう・こう)氏
産業技総合研究所サービス工学研究センター副研究センター長(工学博士)
■嶋田:もともとは農家だったのですが、伊豆急行が開通する際に、「これからは観光の時代だ」と、1959年にみかん畑を潰して旅館を建てたのです。1971年に先代の父が「ニュー熱川プリンスホテル」として新たに会社を立ち上げました。父の代は、伊豆大島近海地震や当館が1983年に火災するなど苦労が絶えませんでしたが、取引業者への支払いは必ず期日に支払ってきましたし、景気の良いときにも大型の設備投資もせずに安定した経営をしていました。そして、5年前に私が経営を引き継ぎました。
現在の館内は、増築を繰り返し、複雑な構造になっています。2棟に分かれていて、客室は52室です。お客様を案内する際も、導線が長いなどのデメリットもあります。食事の提供では、調理部との導線にも課題がありました。バックヤードがなかったので、お客様と同じエレベーターで料理を運ばなければならず、評価が下がるようなこともありました。しかし、この数年はお客様アンケートの声などを取り入れながら、改善点を見出し、少しずつリニューアルを重ねてきています。…
※ 詳細は本紙1460号または5月8日以降日経テレコン21でお読みいただけます。