上高地開山祭に2000人、観光シーズンの幕開け
冬季間、閉ざされていた長野県松本市の北アルプス・上高地(標高約1500㍍)で4月27日、本格的な登山、観光シーズンの幕開けを祝う恒例行事「第44回上高地開山祭」が梓川にかかる河童橋のたもとで開かれた。当日は穂高連峰がくっきりと姿をあらわす好天に恵まれた。登山者など約2千人が集まり、開式時間の午前11時には、河童橋のなかほどまでびっしりの人で埋まった。
式典はアルプホルンとアコーディオンの演奏でスタート。アルプホルンは2㍍以上の長さの木製の管楽器。本場スイスの民族衣装に身を包んだ乗鞍アルプホルン愛好会が厳かな音色を響かせた。続いて山の安全とにぎわいを祈願する神事が行われた。
開山祭実行委員長の青柳薫上高地町会長は「昨年、上高地は土石流被害で大変だったが現在、関係官庁の支援を受けて本格的な改修工事が進んでいる。私たちは素晴らしい自然の恵みをいただきながら営業している。お客様のためにこれからも防災関係などの対策を一生懸命やっていきたい」とあいさつした。菅谷昭松本市長は「私たちは山や自然から多くの恩恵を受けている。一方でここ上高地では、梓川の河床上昇や、山岳トイレ、登山道の維持管理、ニホンシカの侵入対策などさまざまな問題も抱えている。岳都松本の責務を果たすべく、こうした問題に真摯に向き合い解決の道を探っていきたい」と述べた。
上高地は年間約150万人の観光客が訪れるが、昨年は震災の影響で20万人ほど減少。今年は観光客数の回復が期待されている。12年のイベントスケジュールは6月30日まで上高地ウォークラリーを開催。上高地を歩きスタンプを集めると施設の優待商品などがもらえる。6月2、3日は第66回ウェストン祭を開催。上高地や日本アルプスを世界に紹介した英国人宣教師ウォルター・ウェストンの功績をたたえる。9日は上高地音楽祭。10月8日は穂高神社奥宮例大祭。自然観察会(ガイドウォーク)はシーズン中受け付けている。そして11月15日の上高地閉山式で幕を閉じる。