陳述書で処分に反論“業務停止は相当性欠く”
観光庁は、関越自動車道で事故を起こした高速ツアーバスを手配したハーヴェストホールディングスへの立入検査の結果、旅行業法の違反が見られることから処分を検討し、6月18日に聴聞会を開いた。同社は聴聞会を欠席したが、事前に観光庁へ陳述書を提出し、違反の指摘3点について誤解である旨を訴えた。
観光庁は同社に対し(1)1月2日―4月30日の間に、高速ツアーバスの乗車場所で所定の外務員証を携帯しない者に外務員の業務である旅行代金の収受を合計66件行わせていたこと(2)4月27日の募集型企画旅行で当初発地予定であった東京ディズニーリゾート(TDR)から東京駅に変更し、発地および着地のいずれもが当該貸切バス事業者の営業区域外となる運送サービスの提供を斡旋したこと。また、同様に別の貸切事業者2社に対し合計28件の営業区域外の運送サービス提供を斡旋したこと(3)4月27日の東京発および4月28日の金沢発の募集型企画旅行において、当該貸切バス事業者に配車指示書が到達したことの確認を行わなかったこと――の3点を不利益処分の原因として指摘。旅行業法第12条の6第1項、第13条第3項および第12条の10に違反するとして同社に対し業務停止命令を予定している。
これに対し同社は聴聞会を欠席。事前に提出していた陳述書で、「業務停止は誤解に基づくもので処分の相当性を欠く。処分しないか、寛大な処分を」と求めた。また、不利益処分の原因3点について以下のように反論。(1)については、乗車場所での集金の指示はしていなく、事前の決済を案内・実施し、その旨をホームページでも明確に記載していることを説明。「支払い忘れの利用客からの要望により、当日乗車場所で集金をした例が66件あっただけ」と弁明した。また同期間のバス利用者は12万人に上るが、そのうちのわずか66人であり「1818人に1人。0・05%の確率」と強調した。
(2)については、「元々は営業区域内である千葉のTDRを出発地としていたが、運行直前にTDRから乗車する利用客のキャンセルがあったため、次の乗車場所である東京駅へ直接向かうよう当日に変更しただけ」と説明。ツアーバスは路線バスと異なり、乗降する場所以外で停留する必要はないという観光庁の指導に違反していないとした。
(3)については、「仲介業者にバス会社の手配や配送指示書の送付などを依頼しており、弊社から直接バス会社への確認は必要ないとの認識だった」と説明。さらに、大手旅行会社の例を挙げ反論。同社は大手旅行会社からの依頼でバス運行もしており、自社で賄えない場合に、他社にバス運行の依頼をしているが、その際、「大手旅行会社から直接バス会社へ配送指示書の送付や確認はしていない」とし、同社だけへの処分に疑問を呈した。
同社は「利用者への多大な被害と迷惑について深く反省し、社会的責任を認識し深く謝罪する」としたうえで、観光庁の指摘する3点については「いずれも事実として存在しないか、軽微な違反」と訴えた。
観光庁は今回の陳述を踏まえ、後日最終的な処分を決定する。