日本旅館協会発足に、「宿泊業の強い役割を期待」
井手憲文観光庁長官は6月22日に行った定例会見で、今年10月に国際観光旅館連盟と日本観光旅館連盟が合併し、日本旅館協会が発足することについて、「宿泊関係の2つの大きな団体。長きにわたって日本の観光発展に大変大きな貢献をされてきた。合併を機にこれからも宿泊業が観光に果たす役割を強くしていただけると大いに期待している。サービス提供側の旅館が従来の延長ではない、非日常性を楽しめる、個性のある充実したサービスを旅行者に提供いただけるきっかけになってほしい」と述べた。
このほど発表された観光白書のなかで、国内旅行の平均宿泊数が長期低落傾向にあることについては、「景気停滞や、50%を切る有給休暇取得率、若者を中心とした旅行離れなど、残念ながら社会全体の状況が国内旅行にとってアゲインスト。構造的な問題がある」と分析した。ここ数年の平均宿泊数は、06年の2・72泊がピーク。11年は前年に比べ0・05泊回復したものの2・17泊にとどまる。
観光立国基本計画では5年後の16年までに2・5泊の目標を設定している。施策としては、企業に有給休暇取得を促すポジティブオフ運動や、学校側の協力を得た家族の時間づくりの取り組み、若者旅行を応援する表彰制度の新設などをあげた。
井手長官は「各地域の観光地づくりを見れば、いい方向に盛り上がってきている。一生懸命やっている方が増え、熱気もある。そうしたものが観光客を呼び込む力になる。私たちも予算面を含め、バックアップの体制を今まで以上に工夫したい」とし、「どれか単独ですぐに効果のある施策はない。いろいろなものを組み合わせ、地道に積み重ねていくことで、長期低落傾向に歯止めをかけたい」と語った。