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「モノ」から「経験」消費へ、シニア層が堅調な伸び

2012年8月21日
編集部
黒須宏志主任研究員
黒須宏志主任研究員

 日本交通公社が7月24日に東京都中央区のベルサール八重洲で開いた第17回海外旅行動向シンポジウムで、日本交通公社主任研究員の黒須宏志氏がマーケットの最新動向と将来のシナリオについて解説した。

 好調な海外旅行者数の推移を受け、リーマンショック後から震災前までと震災後から12年4月までに分け、性別・年代別の出国率や寄与度を紹介し、どの年代も高い伸び率を示していることを紹介した。なかでも20代女性の出国率の高さをあげ、黒須氏は「韓国のウォン安の影響が大きい」と語り、「人口減少で頭数が減るのは当たり前。それよりも意識がどう変化しているのかを見ていくことが大切」と語った。

 航空需給ではアウトバウンドが震災後の6月にプラスに戻ったことを紹介し、「アウトバウンドの息切れが起きなければ、インバウンドも伸びるだろう」と話した。

 90年代以降のレジャー消費動向は、レジャー全体での消費額は変わっていないが、選択的投資型余暇の傾向が強まっていることを紹介。「同じ金額だがよりお得感がある」「同じ財サービスが前より割安な価格で手に入る」など消費にデフレメリットの実感を求める傾向や、生活の質に対する関心が高まり、サイクリングやクッキング、ウォーキングなどの日常的な活動のレジャー選好、使えるお金は限られるので参加するレジャーを絞り込み、より好きなことに時間とお金をかける傾向などをあげた。

 震災後の価値観変化では、モノ消費(浪費)から経験消費(蓄積)への移行、他人や社会に役立つお金と時間の使い方をしたいとの思いや、自分に対する投資、自分の時間を大切にする傾向を紹介した。

 また、インサイト・JTBレポート・abRoadの動向を紹介し、(1)休暇・観光需要、ビジネス需要はともに好調(2)FITシフトはあるがフルパッケージも横ばい(3)オンラインシフトが進み、旅行会社利用率は少しずつ減少(4)間際化は海旅ではさほど顕著ではない(5)泊数、単価にプラスの傾向⑥地方マーケットに勢いあり――などと話した。

 黒須氏は今後のシナリオも予測し、航空座席の需給状況は、空港容量に余裕があり、マーケットの成長余力とロードファクターの上昇余地、座席供給量の伸びしろがあり、LCCによる新規需要創出へ期待できるとみている。

 短期的視点としては、(1)11年に震災で旅行を見送った人達が戻ってくるシニア層の旅行頻度上昇、(2)ビジネス需要の上乗せについて話し、「震災からの反動要素は12年前半でほぼ出つくし、7、8月の動向が今後の成長力の試金石となる」と語った。

 また、中期的視点としては、(1)円高で高まった旅行モチベーションの継続(2)団塊世代が65歳を過ぎる14年までのシニア層の堅調な伸び(3)海外赴任の増加によるVFR需要の底上げ効果を紹介し、ポイントの1つに「若年層をどこまで伸ばせるか」をあげた。

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