「オンリーワンのまち」第1号認定は千葉県鎌ヶ谷市
NPO法人ふるさとICTネット(高津敏理事長)はこのほど、「オンリーワンのまち」の第1号として千葉県鎌ヶ谷市(清水聖士市長)を認定した。「オンリーワンのまち」認定事業は、そのまちにしかない、ふるさとの産物や観光資源に光を当て、全国ブランドに育てることで永く地域経済の活性化に結びつけることを目的としている。鎌ヶ谷市は標高差29メートルの平坦な地形でありながら、分水嶺から3つの水系に川が流れる「水の三叉路」として珍重な観光資源を有し、環境維持活動にも真剣に取り組んでいる。ふるさとICTネットの髙津理事長に話を聞いた。
【増田 剛】
人々が健康で文化的な生活を営み、活力のある地域づくりを目指す「NPO法人ふるさとICTネット」は、防災・防犯・子供やお年寄りのための安全安心情報に加え、観光・地域産品など、地域のさまざまな情報の流通と、誰もがその恩恵を受けられるように、ICTを最大に活用して地域の活性化や、地域社会の再生・発展に寄与することを目的としています。
総務省が2025年を目標に、ICT(インターネット情報通信技術)を最大限に活用し、世界最先端の情報通信社会になることを国家目標に掲げたことが当NPO設立のきっかけです。総理府より2011年5月12日に認証され、5月19日に設立登記されました。
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昨年3月11日に発生した大地震と連動した大津波で、またもや、三陸地方の沿岸地帯を中心に大災害が発生しました。不可抗力の天災が引き金とはいえ、福島での原発事故は、人類が制御不可能な放射線に対し初歩的な防災対策すら施してはいなかった信じがたい人為事故であることが露呈しました。1年半経過した今も、汚染地帯は人の住めない死の町であり、多くの住民はふるさとを捨てざるを得ない塗炭の苦しみが続き、解消のめどは今も立っていません。
これら絶望的な状況の下、子供や若者たちに大きな変化が生まれています。かつてないほどに、家族を大切にし、両親に感謝する心が自然に芽生えています。人は生まれ育ったところがふるさとです。ふるさとは誰にも選択できないだけに絶対的な重みと意味があります。震災後に期せずして復興への絆が強まり、人がそこに生まれて暮らしていることの意味を知り、かけがえのないふるさとへの思いと重なり、心がつながってきました。唯一無二の我がまち、我がふるさとの大切さに覚醒しました。当NPOは日本人が、ふるさとの自然、産物、祭りや行事を決して忘れてはならない心の拠り所と気づいたことに際し、積極的に全力で会員の心を一にして津々浦々のふるさとの活性化に貢献してゆく組織なのです。
「オンリーワンのまち」認定が事業の柱に
ふるさとICTネットは、「オンリーワンのまち」の登録商標を出願し、今年の5月18日に特許庁に出願しました。そのまちだけにしかないオンリーワンの知られざる、ふるさとの産物を全国ブランドにすることがその趣旨です。
伝統文化や行事、観光資源などに光を当て、それらの相乗効果で、まちと住民が一体となり積極的に活動している事物や無形のものを理事会にて評価選定します。単なる「○○日本一」や「日本一の○○」など類似性のあるものとは異なり、永く地域経済を活性化し、人々が多少なりとも利益を享受でき、地域に潤いをもたらす経済活動に結びつくことが唯一の選定理由であり、前提条件となります。
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いくつかの候補の中からこのほど、千葉県鎌ケ谷市を「オンリーワンのまち」第1号に選定したのは、市政40周年行事として、長年にわたり行政とともに市民がその取り組みを良く理解し、しっかりと地道に支え取り組んできたのが理由です。
人が生きてゆくのに欠かせない命の水がテーマの「水の三叉路」の記念碑が市民の発意で建立され市に贈呈されました。
同市は標高差が29メートルの平坦な地形ですが、居住地の側に分水嶺があり、ここから3つの水系に川が流れている水清く自然環境保全に努力している極めて珍重かつ意外性のあるまちです。分水嶺には高き山や峰の頂きを連想しますが、丘とも言えないほどの低地に市内最高地が存在している大自然の成せる造形の神秘性は、オンリーワンのまちの観光資源に相応しいと判断しました。何より、市長以下市民が心を合わせ、水の三叉路と清浄な川の流れの環境維持活動に、真剣に取り組んでいる姿勢に賛同し、第1号選定の決め手となりました。
今後の活動については、「オンリーワンのまち」活動を周年の恒例行事とし、記念行事の開催を強力に支援していきます。過去の認定自治体首長が一同に参加する「オンリーワンのまちサミット」の開催も考えています。
将来の夢は、地域が自発的に地域経済活動を行うことで、人々がふるさとに誇りを持ち、家族と地域住民がふるさと関連グッズなどの売上金、イベント行事やオンリーワンのまちを訪ねる関連ツアーの実施を通じ潤いを得られることです。多くの人をファン化し、関係者の所得が向上することが目標です。そのためのプラットホームを、ICTを活用しインターネット上に設営していきたいと思います。また、オンリーワンのまち実現までの道程、関連イベント、観光資源および入手先などを各自治体がデータベース化し、イベント企画委員会が取りまとめ、書籍を共同発行することも視野に入れています。
ICTを最大限に活用することで、ふるさとのヒト・モノ・カネの適切な流動を促し、地域経済活性化につながることへの思いは限りありません。