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2・7倍の過去最高額 740億円求める 19年度観光庁予算概算要求

2018年8月29日
編集部:平綿 裕一

2018年8月29日(水) 配信 

2019年度 概算要求

 

 

 観光庁は2019年度予算の概算要求で、東北復興枠を除き、前年度予算比約2・7倍(同168%増)の過去最高額となる739億6800万円を求めた。

 このうち、国際観光旅客税(出国税)を充当する項目は、8倍(同700%増)の480億円。最も多い要求額となった。出国税は来年度から初めて満年度で税収が入る。同庁に一括計上し、執行段階で関係省庁に移し替えていく。観光先進国の実現に向け、新財源の舵取り役としての手腕が問われる。

 法で定められている出国税の使途の大枠は3つ。ストレスフリーで旅行できる環境の整備と、情報発信、体験滞在の満足度向上となる。現状、出国税の使途などは決まっていないが、今秋に「観光戦略実行推進タスクフォース」を開き、具体的な中身を詰めていく。なお、出国税の規模は17年度の出国者ベースで算出した。

 今年度は来年の1月7日から年度末までで、60億円を計上している。法務省などの関係省庁に約28億円を割り振り、CIQ体制や文化財の整備事業などに充てることとした。来年度の事業イメージでも、同じ事業を例示している。

 一方、来年度にどのような使途に充当されるかの詳細は、年末まで不透明な状況が続く。既存施策の財源の単なる穴埋めにならないように、毎年度固定化せず洗い替えすると定められているためだ。

 観光庁総務課の吉田誠企画官は8月28日の会見で「(使途などは)タスクフォースで有識者の意見も踏まえつつ、財政当局、関係者としっかりと議論していきたい」との説明を繰り返した。

 仮に、想定する出国者分の480億円の要求が通れば、同庁にとってこの分だけで過去最大の予算規模となる。ただ、日本人出国者にも1千円が課される。今後、負担者となる日本人出国者が納得できる使途の適正性や、関連省庁の配分などの調整が、新財源を育て活用していくカギとなりそうだ。

観光庁資料より作成

重点20市場を見直し、新たに10市場追加へ

 今年度まで観光庁予算の柱だった一般財源での要求は、同22%増の252億1800万円。観光先進国の実現に向け、観光施策を着実に実施していく。施策の柱は3つ。

 1つ目のプロモーション強化と観光産業の基幹産業化は、140億8400万円(同49%増)とした。

 このなかで、戦略的な訪日プロモーションの実施には、126億7500万円の内数(JNTO運営交付金)を求めた。市場別の訴求を強めていく。

 さらにこれまでの重点20市場とは別に、新たに10市場を設定していく考え。10市場は重点20市場に次いで訪日客数が多い国となる見通し。同庁によると、マカオやニュージーランド、メキシコ、オランダ、スウェーデン、スイス、ブラジル、イスラエル、ベルギー、ポーランドなどが候補だという。

 他方、新規事業として「若者の海外体験促進(5千万円)」と「AI(人工知能)などによる旅行サービス高度化(5千万円)」「テーマナビゲーター育成(7億円)」を挙げた。

 AI事業ではまず海外先進事例を調査。専門知識が無くても、AI技術を駆使してビッグデータ分析やニーズを把握できるようにし、サービスの高度化を目指す。20年にモデル事業を行う予定。テーマナビゲーターは、地域滞在の満足度を上げるため、スキーなど特定のテーマに特化したガイドの育成をはかっていく。

 健全な民泊サービスの普及には、約2倍(同92%増)の2億900万円を求めた。とくに違法民泊の排除に力を入れる。「違法民泊と疑われる物件の住所を入れると、その住所に近い物件を掲載している仲介サイトのリストが一括で出てくるようなシステム」(同庁)を考えているという。

 このほか、大枠の2つ目の地方誘客の促進は、同29%増の25億7200万円、3つ目の受入環境整備は同9%減の77億8200万円とした。

 東北の復興枠は今年度と同額の45億6500万円を要求。20年までに東北6県で、訪日客の延べ宿泊者数150万人泊を目標とする。なお、復興枠などを合わせた概算要求の総額は、同145%増の785億3300万円となった。

国際観光部長(仮称)新設

 先の国会ではIR整備法が可決成立した。これを受け、組織・定員要求では、IRやMICEなどを推進する国際観光部長(仮称)、その下につく新たな課の組織を要求する。定員は部長と新組織の人員など合わせ10人ほど要求する。このほか、出国税の執行体制を整えるため、定員要求は合計16人とした。

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