政府目標達成に向け初会合開く、安倍首相「今一度アクセルを」
2018年9月3日(月) 配信
政府はこれまでの観光戦略実行推進タスクフォースを「観光戦略実行推進会議」に改め、8月31日(金)に初会合を開いた。
タスクフォースの決定・検討事項は同会に引き継ぐ。2016年度に策定した観光ビジョンの目標年次の20年まで、折り返し地点を迎えた。政府目標の確実な達成を目指し、局長級から閣僚級の会議へと位置付けを上げた。
同会は国際観光旅客税(出国税)の使途なども議論する場となる。使途に関する基本方針ではタスクフォースで定めることとなっていたが、同会がその役割を担う。同会のワーキンググループも新設し、2つの場で議論していく方向だ。
「今一度アクセルを踏み込み、観光先進国の実現に向けて一気呵成に取り組む」と、安倍晋三首相は会を立ち上げた意義を強調した。初会合は関係省庁における観光ビジョンの進捗状況や、観光需要に対する西日本豪雨などの影響が報告された。
訪日外国人旅行者数は17年で2869万人となり、12年の836万人から約3・5倍に増加した。訪日外国人旅行消費額は12年と比べて、約4倍増の4・4兆円。ともに大きく伸びている。
ただ訪日外国人旅行消費額の目標(20年)は8兆円とする。地方部における外国人延べ宿泊者数の目標は7千万人泊だが、17年は3266万人泊に留まる。目標達成までは道半ばだ。事務局を務める観光庁は「近年の旅行形態の変化も踏まえ、取り組みを強化していかなければならない」と述べた。
一方で、大阪北部地震や西日本豪雨の災害で、好調な訪日数にブレーキがかかった。7月は、7月として過去最高の約283万人となったものの、前年同月比は5・6%増に留まった。上半期の平均伸び率は約16%で、10㌽ほど低くなった。
このほか、せとうち観光推進機構の村橋克則事業本部長は、岡山・広島・愛媛・兵庫・山口・徳島・香川の8県の7~8月分における影響額を報告。「国内旅行者を中心に約200万人泊の大量キャンセルがあり、約155億円の損失が見込まれる」とした。
対策として政府は31日から、被災地域11府県合計で31億円を充てた「ふっこう周遊割」を始めた。対象地域へ2府県・2連泊以上の周遊旅行や、2連泊以上のボランティアに対し、1泊最大4~6千円を割り引く。
他方、熊本地震では合計約180億円の事業費を支援している。村橋本部長は支援額の増額や、門戸が狭まる「2府県・2連泊以上」などの条件緩和を要望した。
訪日外国人への配慮も示した。被災府県が採用した今回の仕組みでは、個人旅行の場合、宿泊後に口座に還付することとなっている。しかし、訪日外国人は日本に口座を持っていないことが多く、還付が難しい。村橋本部長は「訪日外国人旅行者も還付されるように運用の改善が必要だ」と指摘した。