1千人を東北へ派遣(JATA)
商品開発で復興支援
日本旅行業協会(JATA)はこのほど、12月3―4日の2日間、協会役員や会員会社社員、国内外の観光関係団体など計1千人を東北6県に派遣すると発表した。「東北復興支援1000人プロジェクト」と題し、菊間潤吾会長を委員長とする同名の推進委員会も設置。東日本大震災で落ち込んだ東北地方の観光需要を旅行会社本来の役割で盛り上げるため、現地視察を通して商品開発につなげるのが狙い。
震災から1年半が経過し、東北の観光は回復基調にあるが、直接的な被害や風評で回復が遅れている地域もある。こうしたなか、観光庁が実施している「東北観光博」などで官民あげて需要回復に努めているが、JATAとしてより具体的な復興支援を形にする。国内・訪日の担当者だけではなく海外専門の旅行会社や政府観光局、報道関係者にも参加を呼び掛けるという。
9月14日に開いた会見で、菊間会長は「JATA会員にもっと国内旅行へ目を向けてもらいたい」とし、「大きなイベントを開くことで、会員の意識向上につながる。一過性ではなく、我われが継続的に東北の観光振興に取り組み、商品化して送客を続けることが一番の支援だ」と考えを述べた。
プロジェクトは、東北6県(青森と岩手、宮城、秋田、山形、福島)の各県に100―350人を派遣し、実施踏査を行う。現地視察に加え、セミナーや現地担当者らとの意見交換も行う。内容は各県と調整中だが、各県4コースを設ける予定で、着地型旅行商品や体験型旅行商品など新商品開発のため、新しい魅力を発見するコースを想定する。コース案は「世界遺産『平泉』と遠野・釜石コース」「土湯・温泉遊びと会津・八重の軌跡をめぐるコース」など。東日本旅客鉄道(JR東日本)の協力で、東北新幹線の専用貸切列車を利用するが、福島方面は貸切バスコースのみ。
募集は10月中に開始予定で、全国のJATA支部で受け付ける。