入浴着でサポート(ブライトアイズ)
乳がん経験者にバスタイムカバー
乳がんの手術を受けた女性が少しでも気軽に温泉を楽しめるようサポートしたい。「ブライトアイズ」(東京都練馬区)が開発・販売する入浴着「バスタイムカバー」にはそんな思いが込められている。同社専務の小林光恵さんに、製品開発までの経緯や思いを聞いた。
【森山 聡子】
会社設立のきっかけは、15年前。小林さんの妹であり、同社社長の加藤ひとみさんが乳がんによる乳房の切除手術を受けたことにさかのぼる。姉妹で会社を立ち上げ、乳がん経験者に寄り添った下着作りはできないか。試行錯誤を重ね生まれた「ツーピースブラ」は、世界初の左右分離型ブラジャー。乳房を切除した女性の気持ちを優しく守ってくれる下着として高い評価を得ている。
その後、姉妹のもとに届いた「入浴時に取り外すことなく、お風呂が楽しめるカバーがあれば」との声を受け、速乾性にこだわった入浴着「バスタイムカバー」が誕生。「部屋で身に付け、着用したまま大浴場へ入る。タオルで軽くふけば、上から服を着てそのまま部屋に戻れる。部屋から部屋まで着替えることなくお風呂を楽しめる〝入浴着〟を目指しました」。
当時、本社を置いていた長野県の信州大学に繊維の実験分析を依頼。「衛生面に問題がないことが証明され、長野県衛生部の公認をいただきました」。2011年には厚生労働省、国土交通省、総務省でも製品の公共性が認められ、現在は全国の温泉・温浴施設での着用が可能となった。
会社設立後、小林さん自身も乳がんを経験した。体調が万全ではない日もあるが「患者さんから感謝の言葉をいただくと、この仕事をしていてよかったと心から思います。乳房を切除した女性にとって、手術後の〝胸が保護される感覚〟は心理的にもとても大切なこと。経験者だからこそ作れる商品で、少しでも患者さんたちのお役に立てれば」と語る。姉妹の思いは商品に形を変え、これからも乳がん経験者の心をそっと包み続ける。
問い合わせ=03(5933)3601。