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世界一周の経験伝えたい

2012年10月21日
編集部
内田 涼子さん
内田 涼子さん
 高校卒業後、アメリカの大学に進学。ニューヨークでのOL生活を経て、日本に帰国。しかし、海外へ飛び立ちたい気持ちを抑えられず、28歳のとき、仕事を辞め、バックパックを背負い、世界一周の旅に出た経験を持つ。現在は東京都内で社長秘書として勤務している。

内田 涼子さんに聞く“海外で危険な目に遭わない心得”

 今年8月、ルーマニアでインターンシップに訪れた女子大生が殺されるという痛ましい事件があった。世界には日本にはない魅力があると同時に、さまざまな危険も潜んでいることを忘れてはならない。内田涼子さんは、バックパック1つで世界一周の旅に出た経験から、海外で気をつけることを、1人でも多くの人に伝えたいと考えている。そんな海外をよく知る内田さんに海外で危険な目に遭わないための心得を聞いた。
【樫村 香那子】

 ――今回無惨な事件が起こってしまいましたが、どう感じましたか。

 ほんの少し注意していれば、ほんの少し誰かが事前にアドバイスしてあげていれば、彼女は死なずに済んだかもしれない。そう思うと残念でなりません。

 近年、海外に飛び立つ日本人が増える一方で、現地で事件に巻き込まれる日本人もあとを絶ちません。今回の件で、女性が1人で海外へ行くことや、気軽にインターンをすることに非難の声もありましたが、問題はそこではないと考えます。  

 どんな治安の悪い国でも、戦争中や貧乏な国でも、毎日そこで生活をして生きている人がいます。「海外」が危ないわけではなく、「旅」が危険なわけじゃない。「知らないこと」「想定しないこと」が危険なのです。だから現地のことをできる限り学び、いろんな目線に立って、さまざまなことを想定して事前に対処法を考えておくことで、危険度をぐっと下げることができるのです。

 ――内田さんが考えている海外での心得を教えてください。

 (1)旅先で会ったどんな人も100%は信用しない(2)自分がその国でよそ者であることを悟られない(3)荷物は肌身離さない(4)いつでも逃げられる・助けを呼べる心の準備をしておく(5)日本の常識は海外では常識とは限らないことを知る――この5つですね。

 ありきたりのように思えるかもしれませんが、この心得を安易にとらえて、深く理解していない人こそ危険な目に遭いやすいのです。

 (1)は、まったく信じるなということではないですが、15%は信じない気持ちを持ってほしいですね。そして自分でできることは人に頼らず自分でやること。これが大事です。

 (2)は、初めての場所では周りの人がどのような服装をしているのかまず観察し、浮かないようにすること。女性なら体のラインがはっきりでるような服装は、控えた方が無難ですね。

 (3)は、荷物はいつでも「見えるところに」ではなく、「手が届くところに」置くことを心掛けて頂きたいということ。またチャックのあるバッグでも安心しないでほしいです。私は中国の電車で隣に座った女性から、横からバッグのチャックを開けられそうになったことがあります。常に意識することに慣れれば、苦もなくできるようになります。

 (4)は、どこかに入ったとき、歩いているとき、常に避難ルートを自分で確認しておくこと。そこで何か起きたとき、どうやって逃げるのが一番いいのかを考えておく。助けを呼ぶセリフや叫ぶイメージをしておくだけで、すんなり言葉がでてくるようになるのです。

 (5)は、イメージしにくいかもしれません。日本は安全で、決まりをきちんと守る国です。しかし、海外も同じとは限りません。

 私はドイツで公園に行ったとき、複数の男女が全裸でバトミントンをしている姿を目撃しました。その一方、中東では女性は肌を見せて歩くことは禁じられています。

 海外に行く際は、自分の頭の中にある「あたりまえ」をすべて捨ててから出かけるようにしてもらいたいですね。

 ――海外で大変だった経験はありますか。

 野犬に追いかけられたことです(笑)

 人とはコミュニケーションで分かり合えることができますが、動物は難しいですね(笑)

 女性一人旅でましてや世界一周なので、トラブルに遭いやすいと思われがちですが、私はさきほどの心得を念頭に置くことで、充実した安全な旅にすることができました。

エジプト・砂漠に住む現地人の家で
エジプト・砂漠に住む現地人の家で

 ――今後はどのような取り組みをする予定ですか。

 セミナーや学校などでスピーチをしたり、メディアを通して、安全な海外での過ごし方、海外へ行く前の心構えを訴えていきたいです。

 可能な限り多くの方に旅の心得を具体的に伝えることで、少しでも海外でトラブルに遭う日本人を減らすことに貢献できればと思います。

 とくにこれから留学や研修などで世界に飛び立つ10―20代の人々はもちろん、世代問わず、海外へ飛び立とうとしている人々、海外経験がなく漠然としたイメージしかない人たちに、行く前の心構えを広く伝えていければと考えています。

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