日本一のおんせん県、大分が温泉資源前面に
おんせん県観光誘致協議会 西田会長に聞く
源泉数、湧出量、泉質数ともに日本一を誇る大分県はこのほど、豊富な温泉資源を前面に打ち出した「日本一のおんせん県」として名乗りを上げた。8月下旬から9月上旬には広瀬勝貞大分県知事をはじめ、観光関係者が大阪で大規模なプロモーションや旅行会社とのキャンペーンを展開した。その中心的役割を担う「おんせん県観光誘致協議会」の西田陽一会長(ホテル白菊社長)に、今後の取り組みなどを聞いた。
【平賀 葉子】
≪官民一体で誘客促進、温浴効果高める「機能浴」PR≫
「おんせん県」のきっかけは、昨年の東日本大震災や九州新幹線全線開業など大分県観光にとっての逆風が吹いたこと。県の観光予算はこれまで全国最下位という状況だった。民間がいくら個々の力で頑張っても、それだけでは観光誘致はできない。官民一体となった大きな観光戦略が必要だ。そこで昨年11月に別府と湯布院の旅館組合が共同で広瀬知事への提言を行い、今回の観光戦略につながった。
まず今年7月に民間主導で、県内110の宿泊施設や観光施設、タクシーやバス会社、観光協会などで組織する「おんせん県観光誘致協議会」を設立。ぼやけていた大分県観光の統一イメージを「おんせん県」と定めたことで、日本一の温泉の魅力を「錦の御旗」に掲げ、官民一体で全国にアピールする土台ができた。
「おんせん県」はバーチャルな観光PRではなく、我われの顔が見えるリアルな活動が中心だ。宿泊施設では「おんせん県」のロゴが入ったそろいのポロシャツでお客様をお迎えした。都市圏の旅行会社へのセールス活動などでは、成果を数値化して検証し、旅行会社や旅行者のニーズをつかむ。
今後は8月に県が策定した「おんせん県ツーリズム戦略」に基づき、「日本一のおんせん県おおいた(温泉マーク)味力(みりょく)も満載」をキーワードに、今年から3年計画でとくに関西圏へのPRを強化する。観光入込客数目標は10年度比100万人増の1900万人、宿泊客数は同16万人増の520万人と定め、25階建ての大分駅ビルや県立美術館も完成する2015年には大分にデスティネーションキャンペーンを誘致したいという目標もある。
また、温泉の魅力を高める入浴法として「機能浴」をPRしていく。「機能浴」は世界にある12種類の泉質のうち11種類を持つ「おんせん県」ならではの入浴法であり、異なる泉質の温泉を2湯巡ることで温浴効果を高める。たとえば美肌コースなら、まず別府の明礬(みょうばん)温泉の強酸性の湯で皮脂や汚れを取り除き、次に保湿効果の高い鉄輪(かんなわ)温泉の湯に浸かれば、シャンプーとリンスをした後のような美肌効果が得られる。
ほかにも女性には超ウルトラ美肌コース、企業向けにはストレスフリー、メタボが気になる男性向けにはダイエットなど、効果別のコースを設定してPRする。
大分の素晴らしいところは5分、10分の距離に異なる泉質の温泉が湧いていること。そして別府や由布院以外にも、天ヶ瀬や日田、九重九湯、長湯温泉などほぼ全市町村に温泉があり、さまざまな泉質の温泉を巡る「おんせん県」でしか体験できない旅の楽しみ方を提案していく。注意事項など入浴ルールなどをまとめた「温泉攻略法」も制作中だ。