長距離が好調、JTB年末年始旅行動向
≪国内は北海道、沖縄、海外は欧州、米国本土≫
JTB(田川博己社長)がこのほど発表した、年末年始(2012年12月23日―13年1月3日)の旅行動向によると、1泊以上の旅行に出かける人数は前年比1・3%増の3002万8千人と、6年ぶりに3千万人台となる見込み。国内旅行は同1・3%増の2937万1千人、海外旅行は同0・3%増の65万7千人と、国内・海外ともに前年より増加した。海外旅行人数は、過去最高を記録した96―97年に次いで2番目になる見込み。旅行動向は、JTB予約状況、航空会社予約状況、業界動向、1200人へのアンケート調査などから推計した。
国内旅行をみると、長期の休みを利用して沖縄や九州、北海道など長距離方面への旅行者が増加する見込み。また、開業後初の年末年始を迎える東京スカイツリーや、改装を終えた東京駅周辺を中心に都心のホテルはクリスマスから年末年始にかけて人気を集めている。
13年に式年遷宮を迎える伊勢神宮は、正月の参拝客が増えると予想されており、12月31日から年明けまで三重県・鳥羽、賢島、長嶋地区の温泉施設などの予約が前年を大きく上回っている。東北地域では、13年の大河ドラマの舞台である福島県会津の奥座敷・東山温泉や、土湯、磐梯熱海の予約が堅調で、現地を旅行することで震災復興を応援する動きが続いている。
出発日のピークは12月29、31日、帰着日は1月3、6日に集中する模様。旅行日数は長期の休みを利用して3泊以上が増加。1泊2日が同2・2%減の32・7%と最も多い。次に2泊3日、3泊4日と続いた。
旅行の同行者は「家族」が6・4%減の65・9%と最多。旅行目的は「実家で過ごすため」が4・4%減の36・0%と昨年より減少しているが、「家族や友人と一緒に過ごす」が3・9%増の40・4%で、昨年から引き続き絆を大切にする傾向が見られる。
また、宿泊施設の意向では、「実家」が4・5%減の45・5%と比率が下がっているが、都市滞在や友人同士の旅行に適したホテルが7・4%増の27・6%、旅館・ホテル・民宿・ペンションも4・3%増の43・1%と増えていることから、今年の年末年始は、まとまった長期の休暇を利用して、普段なかなか一緒の時間をとれない人と旅行に出かける人が多くなる見込み。
海外旅行は、日並びの良さや、引き続き円高基調であることから、ヨーロッパやアメリカ本土など長距離方面の旅行が増加。そのほか洪水被害から回復したタイ、マリーナ地区が人気のシンガポール、バリ島なども好調。出発のピークは12月29、30日が最も多く、年始の1月3日までラッシュが続く見込み。帰国は1月3、6日がピークとなりそうだ。
平均旅行費用は国内が同0・4%増の3万800円、海外旅行が同2・6%増の20万7千円となる見通し。