風評を乗り超える、観光推進国民会議に600人
山形市で開く
日本観光振興協会が事務局を務める「震災復興 観光推進国民会議 山形フォーラム―風評被害を乗り越えて―」が12月7日、山形県山形市で開かれ、約600人が参加した。講演やパネルディスカッションを行い、観光での東北復興は第3ステージを迎えるなかで、さまざまな分野の連携の重要性や、単なる回復ではなく、新しい魅力の創造の必要性などを語り合った。
冒頭、西田厚聰議長(日本観光振興協会会長)は、「震災から1年9カ月が経ったが、東北地域の観光需要はまだ大変厳しい。山形県や秋田県は直接、震災の被害がなかったにも関わらず、風評被害で思うように回復していないのが実情だ。2011年度の山形県の観光客数は前年から10・2%減、403万人減の3539万人となった。現在は県内でも地域によって低迷と回復が混在しているため、全体としての解決が難しい」と報告。今回、東北の観光需要が最も落ち込む冬の時期を捉え、フォーラムの実施で「早期の観光回復と観光関係者が一丸となる契機にしたい」と強調した。
また、開催地の山形県・吉村美栄子知事が駆け付け「2014年に山形デスティネーションキャンペーン(DC)が決定した。これを起爆剤に国内外からの誘客に向けて官民あげて全力を尽くしたい」とあいさつした。
フォーラムは東北観光推進機構の高橋宏明会長が東北の現状報告を行ったほか、観光庁・井手憲文長官による基調講演や、各分野からパネリストを迎えたディスカッションを実施した。
そのなかで、高橋会長は東北の宿泊旅行統計は震災前の水準を上回っているが、観光中心の宿泊は8割程度の戻りだと示し、「純粋な観光目的の旅行客増加をはかることが喫緊の課題。とくに、東北の宿泊者は域内が40%を占めるので、東北以外からの誘客とリピーター増加をはかることが重要だ」と語った。このほか、インバウンドは震災前の5割、教育旅行は7割と各分野の動向や対策も示した。今後は、東北のDCが続くことや東北が舞台のテレビ、映画の放映など話題が多いことをあげ「さまざまな企画と連動しながら、一丸となって取り組めば大きな効果が得られると期待している」と語った。
井手長官は東北観光博は今年度で終了することに触れ、「国の予算はつかないが、来年度以降も何らかの形で残していきたいと検討している」と述べた。また、震災復興だけではなく、オフピークとなる冬期の観光需要喚起として、2月28日まで冬まつりを中心に、冬の東北を全国的にPRするキャンペーンを展開していることも紹介した。