「加賀屋塾」開く、次世代担う若手旅館経営者集結(旅館経営人財育成アカデミー)
旅館が日本の元気取り戻す
旅館経営人財育成アカデミー(理事長=小田禎彦・加賀屋会長)は12年12月10―12日まで石川県和倉温泉の加賀屋で、若手旅館経営者を対象に、オープンセミナー「加賀屋塾」と経営力強化セミナーを合同で開催した。小田理事長による講演「次世代を担う旅館業界若手へのメッセージ」や、JTBの田川博己社長の特別講演「旅館・ホテルとのWIN&WINの道筋を考える」などを実施したほか、加賀屋の搬送システムなどバックヤード見学会を行った。同アカデミーの研修事務局はJTB能力開発内に設置している。
小田理事長は「これまでは、ものづくりの国日本と呼ばれていたが、これからは、おもてなしやホスピタリティなどかたちにならないソフトウェアが日本の閉塞感を払しょくすると期待されている」とし、「我われ旅館業が日本の元気を取り戻していく役割を担っていかなければならない」と語った。さらに、旅館業の定義・使命は「お客様の抱える問題解決」とし、「これを誰よりも上手く解決することが商売の優勝劣敗を決める。旅館業でその一番大切なポイントは人の心、おもてなしの部分ではないか」と語った。
JTBの田川社長は「昭和30年代、日本のものづくり企業の創業者たちは最初から技術を世界に売り込んだわけではないと思う。自分を売り込み、その裏付けとして日本の持つ技術力を売り込んだ。最初は『人』ありきだった」と強調。「しかし、最近はどうもモノありきだと感じる。製造業で日本は韓国との競争で負けているが、技術力で負けているわけではない。韓国は大統領とともに『韓国チーム』として海外にセールスに行く。その人脈のなかでセールスし、売上げを伸ばしてきた。日本はいつのまにか、『人を売る』という部分を忘れてきたのではないか」と述べ、「我われは交流文化事業を推進していくうえで、もう一度、人の流れをつくり、そのうえで物流を築いていくことが大切だ」と語った。
第2部は産業技術総合研究所サービス工学研究センター副研究センター長の内藤耕氏がコーディネーターを務め、加賀屋の常務総支配人の手島孝雄氏、客室係責任者の小夜子さんとパネルディスカッションを行い、加賀屋のパントリー改革によるコスト削減の取り組みなどを紹介した。その後、パントリーや搬送システムなどバックヤードの見学会を行った。夕刻からは、部屋食による加賀屋のおもてなしを体感した。
翌11日からは、JTB総合研究所常務の髙松正人氏らを講師に、経営マーケティング戦略や、売れる仕組みづくりなどを学んだ。