前向きな旅行意欲持続、JTBが13年旅行動向発表
国内は現状維持で0.3%増、海外は過去最高の1870万人、訪日は7.9%増の890万人
JTBがこのほど発表した2013年の旅行動向見通しによると、1泊以上の国内旅行人数は前年比0・3%増の2億8700万人、海外旅行人数は同1・5%増の1870万人。また、訪日外国人数は同7・9%増の890万人と、国内、海外、訪日ともに2012年を上回る旅行者数の見通しを立てた。なお、海外と訪日は過去最高値を予測。
2013年の日本経済は震災からの復興需要と堅調な個人需要が下支えし、緩やかな回復が見込める。内閣府の「これからの生活の力点」調査では、レジャー・余暇生活は10年を底に、食住よりも高い比率で上昇。震災後の反動と、リーマンショック以降の「巣ごもり消費」から外に目が向きつつあることに加え、地デジ化やエコポイント、エコカー減税などの先取り消費が一段落した背景も考えられる。13年前半も引き続きレジャー・旅行への前向きな消費意欲は持続すると予測するが、後半からは14年4月からの消費税引き上げに向け耐久財などへの支出に一部回る可能性も考えられる。
13年は、週末3連休の回数が前年より3回増加し、GWや夏休み、年末年始のピークシーズン以外の旅行者数増加が見込まれる。また、国内と海外へのLCCの運航路線拡大により、航空機を利用した旅行への見通しも明るい。団塊世代が65歳に達した12年以降、完全退職者が順次増えており、60代の旅行増加が予測され、13年も完全退職者層マーケットがポイントになりそうだ。
国内旅行は、「選択」消費のなかでレジャー・旅行市場は現状維持が期待されるが、節約志向は依然強く国内線のLCC拡大などもあり、平均消費額は前年比2・4%減の3万2千円と引き続き減少傾向が続くと予想。東京スカイツリーや復原工事を完了した東京駅舎など、東京観光の人気は13年も持続し、銀座・歌舞伎座のこけら落としや東京ディズニーランド開園30周年など、首都圏への観光客の増加が見込まれる。加えて、20年に1度の式年遷宮を迎える伊勢神宮や大河ドラマ「八重の桜」の舞台である会津地方が注目を集めそうだ。また、JR九州が企画した日本初のクルーズトレイン「ななつ星in九州」や、JR東日本が冬以降に東北地方への運行を予定する「SL銀河鉄道」など、単なる移動手段ではなく乗ること自体が目的になる鉄道車両に注目が集まる。
海外旅行は、過去最高の旅行人数を予測するが、平均消費額は円安により現地消費額の微減やLCCの拡大・増便による運賃競争も見込まれ前年比0・8%減の25万円。国内のLCC3社は13年以降、国際線の新規就航を予定しており多様な選択肢が広がる。また、身近で何度も行ける旅行先として、街歩きが楽しめる近隣の都市やリゾート地の人気がさらに高まり、若者中心に台北、マカオ、シンガポール、バンコク、ハワイが好調に。
インバウンドは、12年8月以降に大きく減少した中国の傾向が13年前半まで続く模様。震災からの回復が遅れていた韓国は緩やかな回復が期待され、12年並みと予想。台湾、タイ、マレーシアなど東南アジアを中心にアジア諸国からの訪日が伸びると予測した。