前橋ドームに5千人、地旅大賞の表彰式も(ANTA国内観光活性化フォーラム)
全国旅行業協会(ANTA、二階俊博会長)が主催する「国内観光活性化フォーラムin群馬」が1月23日、グリーンドーム前橋(前橋市)で開かれ、全国の旅行会社など約2千人と一般客約3千人の合計5千人が集まった。今年は初めて観光・物産のPRブースを一般開放し、地元紙への折り込みチラシなどでPRした結果、一般客が大勢来場した。
開会式で二階会長は「ようやく東北を中心とする東日本の観光復興の兆しが見えてきたところ。このフォーラムを全国津々浦々で開き、観光の輪を広げていきたい」と語り、開催都市群馬について「群馬は観光資源がたくさんあり、発展させることができる。このフォーラム後に群馬の観光がより活性化するよう、皆で群馬に送客をしよう」と呼びかけた。
群馬が地盤の大会名誉実行委員長の福田康夫元内閣総理大臣は「群馬は東京から1時間強と近く、ここ前橋から車で30、40分も行けば、たくさんの温泉地がある。全国から集まっている会員の皆さんはぜひ全国で群馬をPRしてほしい」と呼びかけ、「二階会長は、9・11の際はブッシュ大統領の依頼でニューヨークへ2千人の訪問団を連れ、靖国問題で日中関係が揺れたときには6千人を北京へ連れていった。外国からの信頼も厚く、観光業界で果たしてきた役割は大変大きい」と二階会長を讃えた。そのほか、来賓の井手憲文観光庁長官や大澤正明群馬県知事、山本龍前橋市長があいさつをした。
シンポジウムでは、井手長官が「国内観光旅行の推進」について講演し、東北観光推進機構の長谷川博樹国内事業部長が「東北の観光の現状」について報告した。
第3回地旅大賞の表彰式では、大賞を受賞した日本海トラベルの後藤紀代表らへ株式会社全旅の池田孝昭社長から賞状が手渡され、後藤社長は「『地旅』は本当に小さな旅。今後も地元のボランティアガイドと一緒になって楽しい旅を作っていきたい」と喜びを語った。
続いて、コーディネーターにまちづくり観光研究所の奥坊一広所長、コメンテーターに全旅の池田社長を迎え、青森地域社会研究所の末永洋一特別顧問、井門観光研究所の井門隆夫代表、五木田・三浦法律事務所の三浦雅生弁護士、群馬女将の会の塚越裕子会長の4人がパネリストとして「『地旅』と地域活性化の方向性」についてディスカッションした。末永氏は、「地元の人しか知らない体験・物語をどう商品化していくのか。地旅は地元に密着した旅行会社じゃないと作れない」とANTAが地旅に取り組む意義を語った。井門氏は「これからの日本経済・観光を支えるのは中小企業。大手旅行会社は2、3年で転勤する人ばかりで、その土地の良さを売る企画力はない。ずっと地元にいる中小の旅行会社なら地元の良さを知りつくし、企画力がある」と強調。「観光協会が着地型旅行に取り組み始めているが、2次交通の手配ノウハウがなく、店終いも早く、最少催行人数も高くてなかなか良いものができず、(1)そば打ち(2)農業体験(3)まち歩き――のありきたりな3つしかできない」と現状を指摘し、「その点旅行会社なら手配力もある。もっともっと着地型商品に積極的に取り組んでほしい」と語った。
翌日には、富岡製糸場や城下町小幡、ブラジル町大泉など県内各地をめぐる7コースのエクスカーションが実施された。
次回の「第10回国内観光活性化フォーラムin和歌山」は14年2月11日に和歌山ビッグホエールで開かれる。
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第3回地旅大賞の各受賞商品は次の通り。
【大賞】「古代ロマンが漂う田舎でボランティアガイドが活躍!歴史人に触れ合い古代の自然に触れ合う旅」日本海トラベル(山形県)
【優秀賞】「郷土愛深い『語り部』がご案内――町家で食す郷土料理と華麗な犬山祭屑山」ツアー・ステーション(愛知県)▽「四季折々の美しい景観と村人との触れ合いを何度も楽しむシリーズの旅――南阿蘇村7不思議の旅」アースランド観光(熊本県)
【特別賞】「お祝い膳にて還暦祝い――廃校利用同級会プラン」アールエイチ企画(福島県)▽「役者がご案内する浅草ガイドツアー全3コース」セグラスツーリズムエージェンシー(東京都)▽「三嶋大社正式参拝ツアー」三島市観光協会(静岡県)▽「環境船めぐみで行く『冬の湖北・余呉の食と暮らし』を訪ねる旅」地域観光プロデュースセンター(滋賀県)