13年訪日1千万人へ、在外公館との連携強化も、井手憲文観光庁長官
観光庁の井手憲文長官は1月25日に会見を開き、2013年の訪日外客数目標を1千万人とすることを発表した。
井手長官は12年の訪日外客数が過去最高値の2010年に次ぐ837万人となったことを受け、「目標の900万人には届かなかったが、震災前のレベルまで回復した」と語った。13年は「回復から飛躍へ」と1千万人を目標に掲げる。1千万人に向け「東アジアと東南アジアを大幅に伸ばさないといけない」と力を込めた。
韓国市場については「原発の風評被害が減り、ウォン安の悪影響も落ちつき、だいぶ回復に向かってきたところ。今年は本格回復を目指す」と述べた。先般策定した「日韓地方観光交流促進計画」にのっとり、地方への訪日客誘客をはかっていく。
中国市場は「すぐに団体客が本格回復するのは難しい」との見方を示しつつも、「個人旅行客と、インセンティブ旅行客やビジネス客を増やしていきたい」と語った。今までは沿岸部へのプロモーションが多かったが、今後は内陸部へもプロモーションを拡大していくという。また、先刻、北京を訪問し邵キ偉中国国家旅游局長と会談したことを報告。「2国間で問題はあるが、観光交流を伸ばすことで他の問題の解決へつなげる」という共通認識を確認し、邵局長も「民間交流の大切さ」をあげたという。
今年とくに力を入れるという東南アジア市場については「12年に急成長したので、今年はさらに注力し増やしていく」と強調した。1月21日にラオスで開かれた「第12回ASEAN+3観光大臣会合」には鶴保庸介国交副大臣とともに井手長官も出席。ASEAN10カ国すべての国と個別会談を行ったことを報告し、「すべての国と個別会談をしたのは日本だけではないか」と手ごたえをのぞかせた。1月29日に閣議決定された13年度予算案では「東南アジア・訪日100万人プラン」として5億9900万円を計上し、オールジャパンによる訪日促進プロモーションも展開予定だ。
欧米市場については、「成熟した感がある」とし、「これまで通りのやり方ではなく工夫が必要。欧米市場はクオリティを高めて、顧客満足度をあげる必要がある」と指摘した。
また、13年は在外公館や日系企業などとの連携強化を目指す。「取り組みの弱い大使館には活を入れる」とインバウンドにおける在外公館の重要性の認識を示した。さらに、訪日ブランドの確立と発信強化を目指し、今春までを目途に、メンバーに外国人を入れた日本ブランド確立への勉強会を立ち上げることを明かした。