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「もてなし上手」~ホスピタリティによる創客~(93)お客様に寄り添う言葉でおもてなし 「同じ行動を取るにしても」

2018年10月7日(日) 配信 

2軒ともチェックインの日は天候が悪く激しい雨でした(画像はイメージ)。

仕事で、2軒のホテルに初めて宿泊をしました。2軒ともチェックインの日は天候が悪く激しい雨でした。1軒目では、業務を終えて激しい横殴りの雨のなか、ホテルに向かいました。到着するとズボンはびしょ濡れでした。

 フロントでチェックインしようとすると、「お部屋の準備はできていますが、ご予約のプランが、19時半以降のチェックインですので、それまでお待ちいただけますか」と言われました。時間は19時前なので、少し待ちましたが、寒気もするので、もう一度「部屋に入って休みたい」と申し出ると、「ではアーリーチェックインですね」と言われ、追加料金を支払ってチェックインできました。

 2軒目のホテルでは、予定より早く業務が終わり、正午過ぎのチェックインでは、早すぎるとは思いましたが、雨も降っていたので、ホテルに向かいました。すると、「今日ご利用いただく予定のお部屋は、掃除がすでに終わって準備はできていますのでご案内いたします」と迎えられました。

 ビジネス的に考えれば、1軒目は、その日利益を数千円プラスできました。2軒目は、料金をもらわずにお客様を部屋に通してしまいました。しかも、次の機会にも、お客様が同様に早く到着して、別のスタッフが追加費用をもらう選択をしたら「前回とは違う」というクレームになるかもしれません。ルールは守らなければトラブルの元になります。

 では、ビジネスの本質で考えてみましょう。私は、1軒目には今後泊まることはないでしょう。2軒目には「得をした」よりも「ホッとした」という気持ちを強く持ったのです。すでに次の予約も入れました。もちろん、「また、早く行こう」などという気持ちはありません。すべてのお客様が同様の行動をとるかは分かりませんが、「またここに泊まりたい」という気持ちになってもらうことが創客ビジネスです。

 以前に、このホテルと似た体験をしたことがあります。そのホテルでは、「今回に限って」という言葉が付いていました。ありがたい気持ちにはなりましたが、「また来たい」という気持ちにはなりませんでした。

 同じ行動を取るとしても、次のリスクヘッジを考えて発した言葉が、その行動の価値を落としているのかもしれません。気持ちよくサービスを受けていただくことが大切です。

 恩着せがましさを、お客様が感じるマイナスイメージの言葉ではなく、「掃除がすでに終わって準備ができておりますので」といった言葉に「雨の中ありがとうございます」といった言葉が加われば、さらに「ここにして良かった」という気持ちを生むおもてなしの言葉になるのではないでしょうか。

コラムニスト紹介

西川丈次氏

西川丈次(にしかわ・じょうじ)=8年間の旅行会社での勤務後、船井総合研究所に入社。観光ビジネスチームのリーダー・チーフ観光コンサルタントとして活躍。ホスピタリティをテーマとした講演、執筆、ブログ、メルマガは好評で多くのファンを持つ。20年間の観光コンサルタント業で養われた専門性と異業種の成功事例を融合させ、観光業界の新しい在り方とネットワークづくりを追求し、株式会社観光ビジネスコンサルタンツを起業。同社、代表取締役社長。

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