耐震改修法改正案提出へ、全旅連が見直し訴える
2015年末までに耐震診断と診断結果に基づく改修を義務付ける「耐震改修促進法」の改正案が2月27日、自民党国土交通部会で了承された。同改正案は、3月15日を目途に国会に提出される予定だ。
全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(佐藤信幸会長)は翌2月28日、同改正案についての会合を開き、「あまりにも性急な話で、旅館業界にとっては死活問題だ」と述べ、改正案の見直しを訴えた。全旅連は、(1)補助金制度について、国と都道府県が事業者の負担を最大限軽減すること(2)耐震診断の結果公表の期間延長――の2点の要望を出した。
同改正案は、旅館やホテル、病院、店舗などの5千平方メートル以上の大規模施設を対象とし、現在の耐震基準を定めた1981(昭和56)年以前に建てられた建築物の耐震化促進が目的。耐震診断の結果に基づく改修指示に従わなかった場合は、施設名が公表され、診断拒否や結果を虚偽報告した場合には、100万円以下の罰金が科せられる。
支援策として、耐震対策緊急促進事業の追加予算、国費100億円(2013年度予算案)が補助金にあてられる予定だが、地方公共団体(市町村)により補助金制度の有無も異なり、地域格差が生じる問題がある。
耐震診断の費用については、約5千平方メートルで600万円程度、耐震工事は、2―3億円の間ではないかと明確な数字は避けたが、事業者負担は、耐震診断が最低6分の1から最大3分の2、耐震工事は33・4―88・5%と補助金制度の有無で大きな差が出る。佐藤会長は「少なくとも、国と市町村が補助金制度について一律化してから立法するべきだ」と指摘した。また、全旅連前会長の小原健史特別顧問は「2、3年で耐震工事の完了まで促す法案は、現場感覚としては考えられない」と語った。
全旅連では、「耐震改修促進法」の改正案の必要性は充分理解し、反対の立場ではないと強調しながらも、短い期間での義務化を問題視。施設名の開示は営業的な影響が大きいと訴えた。
3月7日、自由民主党本部で2013度第2回自由民主党観光産業復興議員連盟総会と、支部長会議が合同で開かれた。
全旅連は自民党に対し、要望書を提出。同書に対し、国土交通省住宅局の井上俊之局長は「改正法案に施設名公表の期限は明記していない。耐震診断の義務が2015年までとあるのみ」と話し、施設名公表の期限は法案に盛り込まないことを確認した。
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