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「味のある街」「おでん」――静岡おでん おがわ(静岡県静岡市)

2018年10月6日(土)配信 

おでん 黒はんぺん90円、厚揚げ120円(税込)▽静岡おでん おがわ▽静岡県静岡市葵区馬場町38▽電話:054(252)2548。

静岡県静岡市周辺で市民に親しまれているメニューの一つがおでんだ。静岡市清水区出身のさくらももこさんの著作で、駄菓子屋でおでんを食べる描写に触れた人もいるのではないだろうか。「静岡おでん」の汁は全国の一般的なものより黒っぽい。この中で串に刺した具を煮込み、だし粉や青のりをかけて食べる。おでんの店には「居酒屋系」と「駄菓子屋系」がある。静岡駅から徒歩約10分の「青葉横丁」「青葉おでん街」などには、おでんが食べられる居酒屋が並んでいる。そして駄菓子屋でもおでんを売っているのだ。訪れた「おがわ」も駄菓子こそ売っていないが、昼間に営業しており駄菓子屋系の一つと言える。

 訪れたのは平日の昼時だ。店は静岡駅から徒歩約18分、静岡浅間神社参道の静岡浅間通り商店街にある。古書店や靴店、弁当店、カフェなど老舗から新しい店までが並ぶ通りだ。

 のれんをくぐってすぐのところに大きな鍋があり、おでんが煮込まれている。客はそれを見ながら注文する。大根と牛筋肉を頼み、その後を迷っていると店員さんが「黒はんぺんは皆さんが頼みますよ。あと厚揚げも」と勧めてくれたので、それに決めた。店頭のショーケースにあったおにぎりも追加した。年配の女性が皿を運んできてくれた。まずは黒はんぺんから。普通のはんぺんよりも黒っぽく、魚の風味が残っている。そこにおでんの汁がしっかりと含まれている。舌に、すりつぶした骨のざらざらとした感触もある。後で知ったのだが、黒はんぺんは静岡おでんの代表的な具であった。サバやイワシなど青魚を使った練り物で、身だけでなく皮や骨なども使うため、色が黒っぽいという。汁が黒い理由の一つもこの黒はんぺんにあるそうだ。厚揚げもいただいた。これも汁がたわわに含まれ、ふわふわとしておいしい。人気があるのがよくわかった。

 サラリーマンはさっと食べて出ていく。親子連れの客は店員さんと知り合いのようで、学校での心配事などを話していた。それぞれの人が、それぞれの時間を過ごす。地元の人の生活に入り込んでいる店だと感じられた。(トラベルキャスター)

 

コラムニスト紹介

トラベルキャスター 津田令子氏

社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。

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