従業員対象にセミナー、池山氏が吉川屋で講演(リボン宿ネット)
ピンクリボンのお宿ネットワーク(略称・リボン宿ネット、畠ひで子会長)は5月6日、畠会長が経営する福島県穴原温泉の匠のこころ吉川屋で、同館従業員らを対象にした講演会を開いた。昨年末に会員施設を対象としたセミナーを新潟県瀬波温泉の夕映えの宿汐美荘で開いたが、今回のような従業員を対象としたものは初めて。
講演会はリボン宿ネットの副会長で人工乳房の製作販売を行う、池山メディカルジャパン社長の池山紀之氏を講師に開催。池山氏は「患者が無事に手術に成功した後に思うことは、もちろん安堵感だが、次にこれで温泉に行けなくなったと思う声が多い。人工乳房という方法もあるが、対応できる患者数には限りがある。また、患者が旅行に行かないということは家族も含めて、その機会が減るということ。こうした方々に安心して旅行に出てほしいという思いで設立したのがリボン宿ネット。昨年末には会の冊子を作り、現在全国の約500の病院に配布している」と組織を説明。
そのうえで、患者が望む旅館での欲求を、「貸切風呂の声もあるが、大浴場で寛ぎたいという希望が多い」とした。その希望に応えるには「洗い場の間仕切りなどハード面も必要だが、それ以上にソフト面の対応、例えばバスタオルや洗いタオルを多めに提供できる、大浴場が空いている時間などを発信してほしい。患者は着替える場合、周りや鏡に映る姿を見られたくないが、バスタオルなどを多く使用することである程度解決でき、大浴場の空いている時間がわかることで足を運びやすくなる。この点を考慮した情報発信をお願いしたい」と話した。
最後に「こうした配慮の根底にあるのは、乳がん患者だから特別なことをする、ということではなく他の宿泊客と変わらないもてなしをするということ」とまとめた。