座席の卸売を解禁、国際チャーター規則改正(ITCチャーター)
国土交通省航空局は5月16日付で、通達「本邦を発着する国際チャーター便の運航について」の一部を改正し、包括旅行チャーター(ITCチャーター)で、包括旅行商品用の座席の卸売販売を解禁した。これにより、運航者の航空会社と貸切契約を結んだ用機者(旅行会社)に加え、用機者と直接契約を結んだ第1種旅行会社に限り、包括旅行商品の販売が可能になった。卸せる座席は包括旅行用座席のみで、個札販売はできない。
これまで、用機者になった場合の在庫リスクが大きいことなどから、規制緩和を求めてきた日本旅行業協会(JATA)は17日、菊間潤吾会長のコメントを発表。菊間会長は「販売上の選択肢が広がることで包括旅行チャーターの実施機会が増加し、旅行需要の拡大および観光の振興がはかられることが期待される。とくに、需要規模が比較的小さく、特定時期に集中しがちな地方で、チャーターの活性化は観光の促進に寄与するもの。今後、旅行会社間の連携と競争を通じてさまざまなチャーター商品の開発をしていく」と歓迎した。
23日に開いた定例会見でJATA海外旅行推進部の吉田利直副部長は、「2012年度の旅客チャーター実績は片道ベースで7654人と前年から5・0%増加したが、主要空港が大半だ。懸念している地方空港が減り、そのなかでも近年、長距離チャーターが減少している。今回の改正はこの問題意識を航空局や観光庁に理解してもらった結果だと思う」と述べた。会員からは規制緩和に対する問い合わせも多く、すでに地方の長距離チャーターについて具体的な話しもでているという。
また、海外航空会社とチャーター契約する場合、販売代理店(GSA)を通すことが多いため、GSAとの良好なビジネス関係が不可欠だが、現状はGSAの破たんなど、課題もある。そのため、今後新規チャーターを造成する際に、チャーター成立の条件を確認するためのガイドラインとして、条件書を作成。吉田氏は「一緒にチャーターを活性化するため、健全なGSAが育ってほしいと考えている。地方の旅行会社など、あまり知識がない場合はガイドラインを1つのベースにしてほしい」と語った。
一方、今回の緩和で航空局や航空会社は旅行者へ運航サービスの周知が徹底されるかを不安視しているため、JATAは改正の留意点を会員会社に通知。卸先の旅行会社はサービス内容を旅行者に十分周知し、運航情報を確実に旅行者に伝える体制を整えることを、用機者と卸先は契約のなかで確認することを明記した。このほか、卸先は仕入れた座席をほかの旅行会社に販売できないことや、個札販売はできないことなどを盛り込んだ。