現状と課題を議論、教育旅行×ニューツーリズム(教育旅行シンポ)
日本修学旅行協会(河上一雄理事長)は8月23日、江戸東京博物館で第9回教育旅行シンポジウムを開き、「教育旅行をめぐるニューツーリズムの現状と課題」をテーマにパネルディスカッションを行った。
河上理事長は主催者あいさつで「当協会は4月に公益財団法人となった。今後はより公益性を高め、地域・学校・関係団体の役に立っていきたい」と決意を新たに語った。
パネルディスカッションでは、河上理事長をコーディネーターに、東海旅客鉄道相談役で日本商工会議所観光委員会共同委員長の須田寬氏、日本観光振興協会常務理事・総合研究所長で多摩大学大学院客員教授の丁野朗氏、東京都立石神井高等学校長の竹内秀一氏、大阪青凌中・高等学校入試広報部相談役で元大阪府公立中学校長会会長の前田勉氏、全国農協観光協会子ども交流プロジェクト事務局長の出口高靖氏、糸魚川市長でNPO日本ジオパークネットワーク理事長の米田徹氏が登壇。ニューツーリズムの定義から、教育旅行の在り方、教育旅行においてのニューツーリズムの現状と課題などまで、それぞれの視点から幅広く語った。
丁野氏は、「ニューツーリズムは地域資源の編集視点」とし、さまざまな視点から地域資源を編集し、プロモーションしていくことの大切さを強調。また、「地域の総合力が試される」とし、「地域側がマーケットの需要を見えていないことが多い」と課題点を指摘した。グリーンツーリズムが教育旅行では成功しているが、一般旅行者にまで浸透していない理由については、「窓口と商品がない」ことを指摘。「個人では規模が小さすぎて旅行会社が扱えない」との問題点を提起した。
須田氏は、(1)学習・体験を含む観光(2)地域の人と人的交流があること――の2つをニューツーリズムの特徴に挙げた。また、教育旅行との関わりでは、「ニューツーリズムと教育旅行が結びついてない」ことを指摘。「先生が企画から1歩引いてしまっているので、教育旅行の企画を先生の手に戻すべき。ニューツーリズムではなく、教育ニューツーリズムを教育関係者が作らなくてはいけない」と説いた。