「味のある街」「栗あんぱん」――信州 里の菓工房(長野県・飯島町)
2018年11月4日(日)配信
長野県・飯島町では「もっと! 信州伊那栗プロジェクト」が進められている。県内で「北の小布施、南の飯島」と言われるほどの栗の一大産地となることを目指すものだ。町や周辺の農業者約90人と、行政などが参加している。厳しい基準に従って栽培、出荷され、選別された高品質の栗を「信州伊那栗」としてブランド化した。
このプロジェクトの中心となっているのが2008年に設立された「信州 里の菓工房」だ。同店をプロデュースする恵那川上屋は、栗きんとんの産地である岐阜県東濃地方でも屈指の人気店。恵那市では地元産の栗を使った菓子作りを進めている。飯島町周辺では以前から柿やくるみなどを仕入れていたが、栗の栽培農家とも知り合い、この地で採れた栗でおいしいお菓子をつくりたいという考えが生まれたという。
この栗を使った「信州 里の菓工房」の人気商品の一つが「栗あんぱん」だ。パンといっても直径6―7㌢の手のひらに乗るサイズ。賞味期限、消費期限は製造日から20日と日持ちするので、贈答にも向く。
一口食べると、パン生地がしっとり、もちもちしている。その先に小豆のつぶあんの層があり、さらにその中に栗きんとんの層が。小豆や栗の素材の甘みがしっかりと味わえ、そこにパン生地が加わると、ちょうどいい甘さで食べ進める。あんと、きんとんが口の中で混じる食感も楽しめる。ただ一番奥までたどり着くと、やはり主役は栗だと感じられた。栗きんとんに混じる小さな栗の粒が舌に残り、とてもぜいたくな気持ちになれるのだ。パン生地を使った和菓子というのが珍しく、そこにあんや、きんとんが合わせられて、見た目は素朴なのに実はぜいたくな一品となっている。
ほかにも栗羊羹や栗サブレ、焼きモンブランなどがあり、季節限定で栗のテリーヌ、栗こもちなども登場している。オンラインショップからも購入可能。飯島町の店舗には喫茶コーナー「信州 さとのかCAFE」もある。秋限定メニュー、注文を受けてからしぼる「できたてモンブラン」なども人気だ。
(トラベルキャスター)
コラムニスト紹介
トラベルキャスター 津田令子氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。