訪日1千万人へ“正念場”、久保観光庁長官、韓国の伸び率鈍化を懸念
久保成人観光庁長官の定例会見が10月23日に開かれ、今年の訪日外客数1千万人達成について、「このままで推移すると達成可能な数値だが、韓国の伸び率が鈍化するなかで、今が正念場」との考えを示した。日本政府観光局(JNTO)が発表した13年9月の訪日外客数は前年同月比31・7%増の86万7100人で9月の過去最高値を記録するなど好調が続いている。また、1―9月の累計は、前年同期比22・4%増の773万1400人と、1千万人到達可能な2割増のペースを続けている。一方で、汚染水問題を懸念する韓国の9月の訪日外客数は前年同月比12・9%増と、1―9月の前年同期比30・4%増のペースに比べ鈍化。JNTO事務所の調査では「10、11、12月も厳しい」との情報も入っており、久保長官は「懸念材料が顕在化している」と述べた。これを踏まえ、主に中国市場などのビジットジャパン事業の前倒しに加え、「旅行会社や航空会社と一致団結して1千万人達成に向けさまざまな協力をお願いもしている」と話した。
海外が懸念する汚染水問題については、観光庁として「海産物や農産物の安全性について、科学的な根拠に基づいた正確な情報発信を今後も続けていく」とし、韓国については「韓国の当局を通じて旅行会社などに正確な情報を伝えてもらうように求めている」と語った。
≪精力的に議論し、年度内にまとめ、旅行産業研究会≫
9月30日に開かれた第1回旅行産業研究会に対しては、現在の旅行業の制度がネット取引の普及や、海外OTA(オンライン旅行会社)との競争に対応できていない点や、旅行会社と消費者の関係が旅行市場が成熟するなかで標準約款として一律に規制する必要はないのではないかなどの意見や、日本の旅行業制度が現状と合っていない部分の指摘もあり、第2回会合を10月30日に開く。今後の進め方について、久保長官は「精力的に検討、議論を深め、今年度中にとりまとめをしていきたい」と話した。