【特集No.509】灯台を観光資源に 初のサミット開催 活動を本格化
2018年11月20日(火) 配信
“灯台”を核に観光振興と地域活性化をはかり、次世代に貴重な歴史資産を継承するため、第1回灯台ワールドサミットが11月10日、三重県志摩市で開かれた。発起自治体の三重県志摩市と千葉県銚子市、静岡県御前崎市、島根県出雲市が「灯台活用推進市町村全国協議会」を発足。灯台の観光資源化に向けた活動に本腰を入れる。観光庁に加え、灯台の保守、管理を担う海上保安庁も、「灯台観光支援」を重点施策の一つとし、活用を促している。
今回志摩市で初めて行われた「灯台ワールドサミット」は、灯台を有する自治体が灯台を観光資源として活用し、まちづくりにつなげる方策を議論した。
同サミットは、西尾新実行委員長(志摩市観光協会会長)による「これから先の150年を目指し、夢と希望を照らす灯台であってほしい」との開会宣言で幕を開けた。4人の有識者が日本の灯台の歴史や、観光資源としての魅力などを参加者にPR。ロビーでは4自治体がブースを設け、灯台と周辺の観光情報、グルメなどを紹介した。
協議会の会長は、毎年開催する「灯台ワールドサミット」開催地の市町村長が務める。事務局は、日本航路標識協会(深谷憲一会長、東京都千代田区)に置く。
観光戦略策定に期待
協議会加盟の4首長らが登壇したパネルディスカッションでは、協議会の今後の方向性について意見交換が行われた。
志摩市の竹内千尋市長は、「同じ資源や課題を持つ自治体で情報を共有し、灯台の持つ歴史的、文化的価値を将来につなげるための場にしたい」と語った。
御前崎市の栁澤重夫市長は、協議会での誘客活動の構想を提示した。「全国の灯台を回ると各市の特産品が当たるキャンペーンなどもできる」と具体例を説明した。そのうえで、「まずは、日本にある参観灯台を有するすべての自治体に協議会に参加してもらいたい」と呼び掛けた。
一方で、銚子市の越川信一市長は、「行政主体では上手くいかない。地元住民が灯台に対し誇りを持てるような取り組みを進めることがカギになる」と持論を展開した。銚子市は市民が結成した「犬吠埼ブラントン会」が中心になり、灯台を生かしたまちづくりを進めている。
出雲市の長岡秀人市長は唯一、シーカヤックなどによる海を生かした灯台の活用を提案した。また、近年の観光客が目的意識をしっかり持って観光に訪れている市の現状を踏まえ、「長時間滞在してさまざまな体験をしたい人に、体験型の商品をどう提供できるかも意識する必要がある」とした。
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