「味のある街」「信州サーモン丼」――小柴屋(長野県安曇野市)
2018年12月9日(日)配信
信州サーモンは長野県水産試験場が10年以上かけて開発し、2004年に承認された養殖品種だ。育てやすく肉質のよいニジマスのメスと、病気に強いブラウントラウトのオスをバイオテクノロジー技術で交配した。卵を産まない一代限りの魚で、産卵に要するエネルギーが旨味として身に凝縮される。銀色の身体がサーモンを思わせることが名前の由来だ。
長野県安曇野市のJR豊科駅前にある小柴屋では、この信州サーモンを使った「信州サーモン丼」「信州サーモン特製づけ丼」「信州サーモンお造り」を提供している。今回は信州サーモン丼をいただいた。口に運ぶと、信州サーモンにとろりと脂が乗ってとてもおいしい。ご飯にかけられた青のりの、磯の香りとのマッチングでさらに奥深い味わいになっている。上から振りかけられたごまや、安曇野市の特産品でもあるわさびの風味もきいた、ボリュームたっぷりの一杯だ。
「丼なら信州サーモンを一番ダイレクトに味わっていただけると思いました」と話すのは小柴屋4代目である代表取締役の柴野和哉さん。信州サーモンを使うなかで「うちに合う食材を見極めてきた」という。「より脂の乗ったものを」と、以前よりも大きめの個体を使うように。また水草の臭みが魚に移るのが気になるため、湧き水を引き入れる養魚場から仕入れている。さらに丼に仕上げるうえでは、当初はすし飯を使うことを考えたが、苦手な客も意外に多いと分かり、普通のご飯に青のりやごまで風味をつけた。「旅行中のお客様が『信州サーモンを食べたくて探していたんです』と来店されることもあります。うちではいつでもお出しできるような状態にしておきたいと思っています」。
小柴屋では他にも安曇野のご当地メニューを提供している。今年10月から11月には「安曇野やさいスイーツフェア」に合わせて、地元産のほうれん草と夏秋イチゴを使った「至福のリングシュー」を出した。「林檎ナポリタン」も提供しており、「地元の食を通して安曇野のアピールができれば」と笑顔で話す。(トラベルキャスター)
コラムニスト紹介
トラベルキャスター 津田令子氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。