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本当の“地域の宝”――元気な女将や温もりの宿(6/11付)

2011年6月11日
編集部

 熊本県・人吉温泉を初めて訪れた。「第22回全国旅館おかみの集い」運営委員長の有村政代女将(清流山水花あゆの里)がこの人吉温泉で頑張っている。
 人吉温泉の最大の特徴は、1994年から温泉地内の女将さんで組織される「さくら会」(会長=富田千鶴子さん・鍋屋本館女将)だろう。毎日のように、女将同士が連絡を取り合い、精力的に温泉地のPRや地域活性化に取り組んでいる。5月27日に取材に伺ったときには、富田会長、有村さんに加え、純和風旅館芳野の田口妙子女将、人吉旅館の堀尾里美女将、町屋旅館一富士の松田淳子女将の5人にご参集いただき、あゆの里のロビーでさまざまなお話を聞くことができた。女将さんたちは皆、考えが前向き。「それだけが取り柄なのよ」などと話していたが、圧倒されるほどのエネルギーに満ち溢れた女将たちが、九州の小さな温泉地で地域の活性化に向けて頑張っている、そのひたむきな姿勢に、元気をいただきに行ったようなものだった。詳しい内容は次号(6月21日付)で紹介するので、楽しみにしていてほしい。
 元気な女将さんのオーラというものは、消すに消せないらしく、取材が長引き、ロビーにお客さんが集まり出すと、着物姿の5人の女将に目が釘付けになっていた。旅館の主人が5人で語り合っていても、これほどのオーラは望めない。
 取材が終わって、小雨の降るのどかな球磨川の川べりで熱かった取材のほてりを冷ましていると、青いトタン屋根の公衆温泉新温泉の母屋が見えた。写真を撮りに行こうと近づくと、その建物の佇まいの魅力に吸い込まれ、早速スーツを脱いで、湯に浸かった。番台に座るおばさんが、手ぬぐいと石鹸も貸してくれた。何気ない会話の中にも温かみを感じた。
 その数日前には、今号の1面で紹介している福島県・二岐温泉の「大丸あすなろ荘」ご主人・佐藤好億さんを訪れ、6時間にわたるロングインタビューにお付き合いをいただいた。
 山の奥でひっそりと秘湯の宿を営み、旅人を温かく迎え入れるご主人の考えが、働くすべてのスタッフに行き届いていて、山の宿の良さを、骨の髄まで感じたとても豊かな時間だった。
 日本各地に元気で温もりを感じる人が沢山いる。多くの人に本当の“地域の宝”に気づいてほしい。
(編集長・増田 剛)

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