「3千万人超える」 訪客減から一転 増加に 観光庁
2018年11月30日(金) 配信
日本政府観光局(JNTO)によると、10月の訪日外国人旅行者数は264万600人で前年同月比1・8%増となり、先月の減少から一転し増加となった。自然災害の影響は残るものの、最も大きな中国市場が10月として過去最高になるなど、全体を底上げした。観光庁の田端浩長官は11月21日の会見で「外的な要因が無ければ、18年は3千万人を超えると見込まれる」と初の大台突破へ期待感を示した。
田端長官は3千万人の見通しについて、「18年の航空便冬ダイアは17年冬期と比べ、週333便増となっている。これは旅行需要にメリットが大きい」とプラスの要因を説明した。
訪日外国人旅行者数は10月として過去最高となり、1―10月の累計は前年同期比9・7%増の2610万9300人となった。訪日外国人数を詳しくみると、重点20市場のうち、韓国と台湾、香港、マレーシアを除く16市場が10月として過去最高となった。
東アジア4市場(韓国、中国、台湾、香港)は9月、全体の約75%を占めたが、10月は前年同月比69・5%と7割を切った。韓国は同8・0%減の57万1200人で、台湾は同9・9%減の37万9600人、香港は0・9%減の16万9500人。この3市場で昨年10月から9万人の減少となった。
韓国や台湾は、昨年10月にあった祝日の移動や分散のほか、自然災害による旅行控えなどで響いた。
一方、休暇改革について触れ「休暇改革を推進できる組織体や協議体を、年度内を目途に設立したいと考えている」と話した。現在は準備段階としながらも「働き改革といっているだけでは進まない。しっかりと動かしていかなければ」と危機感を示した。
なお、日本人出国者数は、同12・8%増の1646万6200人と19カ月ぶりの2ケタ増となった。主に中国や台湾、韓国への旅行が好調だった。田端長官は「日中韓観光大臣会合を10月に3年ぶりに開くなど、外交関係が良好になっていることが大きく影響している」と述べた。
□国内旅消費6兆円超え動向調査7―9月期
観光庁によると7―9月期(1次速報)の日本人国内旅行消費額は、前年同期比3・9%増の6兆5079億円だった。このうち宿泊は同6・1%増の5兆2357億円で、日帰りは同4・3%減の1兆2722億円となった。
日本人国内延べ旅行者数は13・2%減の1億6424万人と大きく減少した。このうち宿泊は7・4%減の9103万人で、日帰りは同19・5%減の7321万人となった。7―8月に気温がかなり高かったことや自然災害のほか、「8月に三連休がなく、昨年、一昨年より休日数が少なかった」(同庁)ことなどが減少の原因とみる。
一方で1日当たりの旅行単価は、宿泊が同14・5%増の5万7517円で、日帰りが18・9%増の1万7377円となった。田端長官は「ガソリン代を含むエネルギー費が緩やかに上がっていることなどが、単価上昇に影響している」と要因を示した。