test

プレスツアーのコース ― 人工的な公園よりも……(6/11付)

2012年6月11日
編集部

 今や、多くの地域が観光PRに熱心で、プレスツアーを行い、テレビや新聞、雑誌、ブログなどに観光素材をアピールしてもらおうという動きが活発化している。現地の行政トップや観光担当者、事業者との懇談会を設定し、忌憚のない意見を集めて、地域の観光に生かしていこうとする姿勢には、積極的な意欲と、柔軟さが感じられ、すごく好感を持ってしまう。

 けれど、自治体が主催するプレスツアーのコース設定に少し疑問を持つことがある。残念でもある。招待されておきながら、「つまらない」などと言うことは、大変口幅ったいことではあるが、でも、本気で地域観光に取り組もうとされるのならば、次のようなところはコースから外した方がいいのではないか。あえて言わせてもらえば、自治体が出資している○○公園や、○○交流館、資料館、記念館のようなものである。

 すべての地方に行っているわけではないので、当然例外があることは百も承知なのだが、基本的にそれら建物は綺麗で清潔感があり、予算が潤沢にあれば世界的な有名建築家、そうでなければ地元の建築家がデザインしたすっきりとした建物である。館内に入ると、大きなパネルの写真や年表などがガラスケースの中で展示され、中には電飾の装置が付いた大がかりな仕掛けで説明してくれたりする。また、公園の方は、敷地面積が広大で、壮麗な噴水があり、憩いの広場がコンクリートと芝生などで整備されている。ゴミもあまり落ちていないし、何かのイベントをやっていない時期には地元住民もあまり訪れない。観光客の姿など滅多に見かけない。そのような空間に、東京から飛行機やら新幹線やらを乗り継いで、大型バスからぞろぞろとカメラとメモ帳を持った記者やジャーナリスト、ブロガーが降りて周りを見回す。自治体の観光担当者が、公園の説明を20分ほどして、隅々まで1時間ほど散策するという流れだ。

 記者たちが本当に見たいのは、綺麗に整備された広大な公園などではない。このような公園は、各市町村に必ず一つはある。遠い未知なる地域を訪れたときは無機質で人工的な公園ではなく、魅力溢れる宝に会いたい。せっかく予算を使うのなら、ツアー参加者に「私たちのまちの何を見たいか」を、事前に聞いた方が効果的かもしれない。

(編集長・増田 剛) 

いいね・フォローして最新記事をチェック

PAGE
TOP

旅行新聞ホームページ掲載の記事・写真などのコンテンツ、出版物等の著作物の無断転載を禁じます。