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全国旅館おかみの集い ― 東北で一堂に会する意味(7/1付)

2012年7月1日
編集部

 7月3日、宮城県仙台市のホテルメトロポリタン仙台で「全国旅館おかみの集い」(第23回全国女将サミット2012仙台)が開かれる。全国旅館おかみの集いも今年で23回目になるが、東北での開催は初めてだ。昨年の東日本大震災からの観光復興大会との位置づけで、運営委員長には地元・宮城県のホテル松島大観荘の磯田悠子女将が就任し、運営委員が一体となって準備を進めてきた。

 今回は仙台市在住の歌手・さとう宗幸さんを講師に迎えて基調講演を行う。分科会は、東日本大震災という未曽有の大災害から1年余りということもあり、特定のテーマを定めずに、東日本エリア、西日本エリアの女将がそれぞれ自由に意見交換する場が設定された。震災当日のお客様への対応や、その後の状況、人件費削減への方策、被災者受入れという経験、節電対策や、観光復興へのPRなど、さまざまな貴重な経験を、全国の女将が共有することの意義は大きい。また、翌日の4日には、南三陸町・松島町の日帰り視察旅行も企画した。40人を超える女将が参加する予定だ。南三陸町では、「東日本大震災の被害を忘れ去られないように」「もう二度と同じような津波被害が起きないように」との思いから、多くの人々に被災の経験を伝えていく「語り部ガイド」が活動している。その語り部ガイドがバスに同乗し、被災地区を案内するコースが組まれている。東北開催の意義を感じられる大会になるだろう。

 全国旅館おかみの集いは年に1度の開催だ。地元の女将会のメンバーとは、事あるごとに顔を合わせることも多いかもしれないが、日々全国の旅行者を迎え入れる側の女将が、一堂に会するという機会は、これを措いて他にはない。

 カールスバートでのゲーテとベートーヴェンの出会いが歴史的邂逅と呼ばれるように、人と人との出会いも、事件である。100人を超える同時代の全国の女将が、ある特定の場所に勢ぞろいすることは、それ自体が十分に歴史的な事件でもあり、大きな意味のあることだ。

 旅をするには、さまざまな理由があるだろう。美味しいものを食べたい、温泉にゆっくりと浸かりたい――など。しかし、「旅館女将が元気な姿で、笑顔で迎え入れてくれるから行きたい」という旅もいいものだなと思う。

(編集長・増田 剛) 

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