未来への大切な投資 ― 子供に愛される地域に
2月の雪催いの日曜日に、「水族館に行きたい」という7歳の息子と小田急線に乗って新江ノ島水族館に行った。末の息子なので、「あまりどこにも連れて行ってあげてなかったな」と思いながら、「たまには父さんも奮発だ!」と、息子の大好きなロマンスカーに乗って、冬の江ノ島に向かった。
息子が水族館を好きになったのは、数年前の東北旅行で青森県の浅虫温泉に泊まった翌朝、浅虫水族館に行って初めてエイを見て感動して以来のこと。浅虫水族館の施設は素晴らしく、そのわりに青森県営のためか、ものすごく料金が安かった。これは家族旅行にとってすごくありがたいことであった。
さて、今は、子供たちにとって受難の時代である。少子高齢化が進み、社会の中心は大人であり、それもかなりの高齢層である。幼い子供連れの家族は飛行機や新幹線など公共交通機関も利用しづらいし、ちょっと洒落たレストランや旅館・ホテルにも入れない。そうすると、休日に小さな子供連れの家族が遊べる場所といえば、家から歩いて行ける小さな公園か、少し頑張って動物園や水族館、遊園地だろう。でも入園料が安くなければ、何度も行くことはできない。地域の動物園や水族館、遊園地は子供たちにとって楽しさの象徴であり、楽園である。きっと大人になると、楽しかったたくさんの思い出を胸に、自分たちの子供を誇らしげに連れていくに違いない。
私は図書館が好きである。そして図書館が充実している町が好きである。現在、どこの自治体も財政は苦しいが、図書館は「とても大切なもの」と認識されている。これは良心である。生活に困窮しても、図書館に行けば誰でも平等に本を読むことができる。すべての住民に最低限の文化的な生活が保障されている。動物園や水族館、美術館なども地域の子供たちに身近で、愛される施設であってほしいと思う。子供の入場料は自治体が補助してもいいのではないか。地域活性化を目指すなら、地域愛を育てるなら、もっと子供に、未来に目を向けよう。
多くの温泉地ですでに行われているが、日にちを決めて地元の子供たちを無料で温泉に招待することも未来への大切な投資なのである。地域づくりには時間が必要だ。未来の地域を担う子供たちに愛されるまちを目指そう。
(編集長・増田 剛)