有休取得率は世界最下位 世界との差 歴然に
2018年12月12日(水) 配信
日本人の有休取得率は50%で世界19カ国中最下位――。エクスペディア・ジャパンは12月10日(月)に東京都内で、有給休暇の国際比較調査について発表会を開いた。最下位は3年連続となり、調査開始から10年間で計8回目。仏・西・独3国は100%、下から2番目の豪州は70%で世界との差は歴然となった。国全体で休み方改革を進めるなか、未だ厳しい現状が透けた。
日本人の特殊な傾向も明らかとなった。「休み不足を感じるか」と答えた割合は53%で下から3番目。有休を取得できていない一方、休むことに消極的だった。さらに世界でもっとも有休取得に「罪悪感がある(58%)」と回答した。
取得しない理由は「人手不足」が1位で、「仕事する気がないと思われたくない」が3位にランクインした。同社の石井恵三代表は「残念ながら日本人は休暇中もメールや電話をしてしまう。各国と差がある」と指摘した。
とくに一週間以上の長期休暇を取る割合は20%で、「日本は極端に低い」(石井氏)という。ゲストで登壇したフリーアナウンサーの神田愛花さんも「(休暇中に)ほかの人に仕事が回らないように休みは取りたくなかった」とNHKでのアナウンサー時代を振り返った。そのうえで「ただ、10年もこのような状況なのは驚きだ」と語った。
一方、取得率の低さは上司世代の変え方が影響しているようだ。
日本人の世代別で「休み不足」と感じる人の割合をみると、18―34歳は6割を超えるが、50歳以上は4割だった。さらに「上司が有給取得に協力的」と回答した割合が日本は43%で世界最下位。唯一5割を下回った。
「(上司世代は)バブル期の働き方を引きずっている」(石井氏)と、日本の有休取得率が低い要因の1つを示した。
世界では休みの取り方が進んでいる。ビジネスとレジャーを組み合わせた「ブレジャー」が注目を集めているという。出張に有休をつけて、仕事が終われば観光を楽しむといったもの。航空チケット代は会社持ちなので、旅行するまたとない好機となる。
ただ日本は遅れている。出張に有休を付けたことがない割合は79%で世界最多となった。欧州では4―6割近くがブレジャーの経験があることが今回の調査で分かった。石井氏は「今後はブレジャーを文化として根付かせていきたい」と語った。
なお、有休を取得してもらいとの願いから、ホテル代が90%オフになるクーポンの配布を、12月13日から始める。およそ1千人以上分用意し、計4千万円分ほどのクーポンとなる。石井氏は「海外旅行で非現実を味わい、ぜひリフレッシュしてほしい」と呼び掛けた。