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「ZOOM JAPON(ズーム・ジャポン)(12月号)」

2018年12月13日
編集部

2018年12月13日(木) 配信

http://zoomjapon.info
クロード編集長

〈巻頭言〉

 去る12月1日、パリでは燃料税の増税に端を発した「黄色いベスト」と呼ばれるデモ隊の一部が暴徒化し、凱旋門周辺が炎と催涙弾の煙に包まれました。この運動の参加者は、「右でも左でもない」若き大統領が推し進める企業経営者寄りの経済改革に不満を持つ、組織や党を超えた全国の人々。これまでのデモと異なり、主導者がいない運動に政府は話し合いをする術がなく、事態収束の予測が困難な状況です。この時局に象徴されるように、昨今、世界各地で資本主義への反発が顕著にみられるようになりました。弊誌12月号の特集では、暮らしの快適さで知られる日本の中で、既存の社会システムに依存しない生活スタイルや表現方法を選んだ人たちに注目しました。文化面では昨今のお正月の過ごし方を紹介、旅ページでは三重県伊勢志摩を訪れました。

(編集長 クロード・ルブラン)

特集 オルタナティブな、もう一つの日本

東京谷中の「貸はらっぱ音地(ONDI)」は、ユニークな展示スペース

 近年の日本の社会運動の歴史を振り返ると、1960年代に最盛期を迎えていた学生運動は、70年代初めに沈静化し、過激派はテロとして地下に潜り、その他の人々は豊かな暮らしを求めるようになった。その結果、バブル経済が到来。しかし、その崩壊後に新たな貧困層が生まれたことにより、手作りの文化と社会参加が見直されるように。この動きに2011年の福島第一原発事故が拍車をかけ、より多くの人々による積極的な社会貢献活動への取り組みが始まった。■静岡県三島でDIY精神のコミュニティスペースをオープンし、出版活動も行っているCRY IN PUBLICの創設者の1人、ブリアン・クリフトン氏をインタビュー。■「脱資本主義宣言」の著者として知られる鶴見済氏が語る、彼が6年前に始めた「くにたち0円ショップ」の、ものを売らない理由とは。■別名リトルプレス、「ZINE(ジン)」と呼ばれる少部数の個人出版物が増えてきた。東京でZINEを手掛ける2人のアーティストを取材。■投げ銭システム、太陽エネルギーなど、型破りな手作り音楽フェス「橋の下世界音楽祭」の主催者、バンド・タートルアイランドのボーカル愛樹氏に会って話を聞いた。

〈ZOOM・JAPON 編集部発 最新レポート〉フランスで Do It Yourself !

パリの文化施設エスパス・ジャポンが開催した金継ぎワークショップ

 先日パリ市内で、大型 DIY フェア (Salon du Do It Yourself) が開催されました。近ごろのフランスでは、「DIY」がエコロジーを意識したハンドメイド文化を総称する流行語になっています。雑誌「マリ・クレール・イデー」が協賛するこの5日間のイベントは、手芸から雑貨、モード、インテリアそして料理までをテーマとする、とにかくおしゃれでクリエイティブな手作りワールド。ビジターのほとんどが女性で、地方からの来場の多さも特徴的です。会場内の300近いテナント出展者は、個人クリエーターから企業までさまざま。日本からの参加も多く、メイドインジャパン商品のセンスと繊細さは相変わらず人気です。美しい梱包技術も日本の文化として広まりつつあるなか、今年は東京に本社を置く梱包用品のシモジマの参加もありました。一方、このフェアはヨーロッパ随一のワークショップ数を誇っています。500以上の有料アトリエの中には日本関係のものも多く、とくに金継ぎワークショップのオンライン予約は早々に満席。フランス人の異文化への関心の高さがうかがえます。クリスマスシーズンと相性のいいこの見本市、来年も目が離せません。

フランスの日本専門情報誌「ZOOM JAPON」への問い合わせ=電話:03(3834)2718〈旬刊旅行新聞 編集部〉

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