史上初の3千万人超え 訪日5年で3倍 存在感高まる 観光庁
2018年12月27日(木) 配信
観光庁は12月19日(水)に会見を開き、訪日外国人旅行者数が18日、史上初の3千万人を超えたと発表した。2013年に初めて1千万人を突破してから5年で3倍に増えた。19年にラグビーワールドカップ、20年には東京五輪と大型イベンントが続く。さらに19年度からは出国税の税収が満年度化する。大きな盛り上がりをみせる観光産業。来年からより存在感が高まりそうだ。【平綿 裕一】
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18年前半は2ケタ増が続き好調だったが、7月以降は自然災害の影響で伸びは鈍かった。9月には約5年8カ月ぶりに伸び率が減少に転じた。観光需要の回復に向けては、官民を挙げたキャンペーンなどの対策を打ち、外国人旅行者の呼び戻しに注力してきた。
観光庁の田端浩長官は同日の会見で「さまざまな取り組みにより着実に需要は回復している。その結果3千万人を突破した。ただあくまで通過点にすぎない。引き続き20年の4千万人の目標達成に向け取り組んでいく」と述べた。
目標達成に向け19年は、デジタルプロモーションとスマートフォンを最大限活用した旅行環境整備を進めていく。「どんどんやらなければ諸外国に遅れを取る」(田端長官)と危機感をあらわにした。
コト消費にも本腰を入れる。楽しめる観光素材として、ナイトタイムエコノミーなどの活性化をはかる。地方部における満足度向上のため、文化財や国立公園の多言語解説も充実させていく。
このほか、地方部での滞在日数を増加させるため、古民家活用による高付加価値な宿泊施設を作り上げていく。さらに旅館の生産性を向上し、「稼ぐ旅館」の創出にも注力していく考えだ。
一方、日本人出国者数も堅調な推移をみせている。日本政府観光局(JNTO)によると、18年1―11月累計で前年同期比5・5%増の1732万4700人だった。「年末年始の予約状況は好調だと聞いている。今年は前年を上回り1800万人を超え、さらに1900万人に迫っていくだろう」(田端長官)と期待を示した。
アウトバウンドが伸びている要因は、中国・韓国などとの外交関係や、国内経済、為替が安定していたことを挙げた。ツリーリズムEXPO2018の出展者や来場者が過去最高だったことを振り返り、「いい後押しになっている」と語った。20年の2千万人の目標へ引き続き動きを強めていく。
国内旅行に関しては、自然災害により落ち込んだものの「ふっこう割」などの対策で客は戻ってきたとする。田端長官は「やはり国内旅行の環境が整うことで雰囲気が良くなる。諸外国のインバウンドの呼び込みにつながる」と横ばい傾向が続く国内旅行の振興にも力を入れていく考えだ。
他方、空販売問題についても言及があった。同庁は中国最大手OTA(オンライン旅行会社)Ctripグループのシートリップジャパンに、すでに立入検査をしている。空販売や、予約と同時に高額な料金を取消不可として支払わせたなどの問題行為に対する報道を受けてのこと。
田端長官は「当該OTAを呼び、説明を求めた。旅行者の気持ちを、ないがしろにするようなビジネスモデルは信頼も支持もされない。再発防止策を要求し、厳しく指導している」と語気を強めた。