〈旬刊旅行新聞1月1日号コラム〉2019年の観光業界 海外旅行も順調に増加 健全な発展へ
2019年1月1日(火) 配信
2019年は大きな出来事が控えている。
年明けの1月7日から、国際観光旅客税(出国税)の徴収が始まる。出国するたびに1千円が徴収される。旅行動向への影響はほとんどなさそうだが、税収がどのように使われるのか、厳しい目が注がれるだろう。
5月1日には新元号となる。これに合わせて、4月27日から5月6日までゴールデンウイークが10連休となり、祝賀ムードのなか、観光業界にとっては、大きな追い風となりそうだ。
6月28、29日には大阪でG20首脳会議が開かれ、世界中の目が日本に集まる。
9月20日から11月2日まで、ラグビーワールドカップが開催される。開催地は、札幌市、釜石市、熊谷市、調布市、横浜市、袋井市、豊田市、東大阪市、神戸市、福岡市、熊本市、大分市の12都市。参加国をはじめ、世界各国のラグビーファンが日本の地方都市を訪れる機会が増えそうだ。
一方、10月1日から消費税が10%に引き上げられる。旅行意欲や消費の低下が予想される。
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プラスとマイナスの両面が見込まれる19年。JTBはこのほど、旅行動向の見通しを発表した。
これによると、19年の訪日外国人旅行者数は、過去最高の3550万人と予想。18年は12月18日に史上初の3千万人を突破したが、20年の4千万人に向け、大幅な伸びを見込む。
国内旅行人数は良好な景況感と、祝日数の増加などが影響し、前年比1・5%増の2億9090万人と堅調に推移するもよう。
海外旅行人数は同1・1%増の1910万人と過去最高に達する見通しだ。12年に1849万人を記録したあと、13年は同5・5%減の1747万人、14年は同3・3%減の1690万人、15年は同4・0%減の1621万人と低迷が続いた。
しかし、16年は同5・6%増の1712万人、17年には同4・5%増の1789万人と増加。18年には過去最高となる1900万人に迫る勢いだ。近年、訪日外国人旅行者数の増加ばかりが話題になっていたが、旅行業界の健全な発展には、海外旅行者数も順調に増加していくことが望ましい。
JTBは19年の海旅について、「GWが10連休となることで、すでに販売が始まっている旅行各社の海外旅行の予約時期が従来よりも早まる傾向がみられる」とし、「欧州などの遠距離方面を中心に前年同期比で2―5倍の予約者数となっている会社もある」としている。
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18年12月8日に出入国管理及び難民認定法が改正され、19年4月から施行される。人手不足で悩む宿泊業界に外国人労働者の受け入れが本格化する。
日本文化を守りながら、国際化する観光産業の最前線として、優秀な外国人労働者を迎え入れる。日本人労働者と力を合わせ、良好な労働環境を作り上げていくことが大きな課題となる。
宿泊業界は生産性向上への取り組みの加速も必要だ。バックヤードの省力化や、省エネへの取り組みは業界全体で共有化しなければ、さらなる発展が見込めない。本紙もさまざまな先進事例を紹介していきたい。
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18年は自然災害が多発したが、19年は防災、減災への意識を高めながら、観光業界全体が明るい年になることを祈っている。
(編集長・増田 剛)