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【特集】神奈川県・箱根強羅温泉「円かの杜」

2019年1月15日
編集部:増田 剛

森の宿に滞在 独創的な世界に浸る 「宿には“遊び心”が必要」

水車が特徴「円かの杜」のエントランス

 花扇グループ(飯山和男社長)が2014年12月に神奈川県・箱根強羅温泉に開業した「円かの杜」は5年目を迎えた。箱根の森の中に静かに佇むラグジュアリーな和の空間には、飛騨の高級木材が惜しみなく使用され、館内は自然素材が持つ温かみに包まれる。安らぎとくつろぎの空間で過ごす滞在客に、上質な楽しみ方を提供しようと、一流演奏家によるミニコンサートや、新酒を楽しむイベントなどが不定期に催される。“遊び心いっぱい”の独創的な世界に浸ることができる。

 箱根強羅温泉・強羅花扇と、早雲閣のグループ館「円かの杜」は、箱根の深い森の中に潜む、隠れ家的な20室の宿。鳥のさえずりで目が覚めるほど自然に囲まれ、静寂に包まれている。

 館内には、エステや岩盤浴、蔵バーなど、さまざまな施設を備えている。「滞在されるお客様に過ごし方の選択肢を1つずつ増やしていきたい」という考えが根底にある。

 あらゆる過ごし方のバリエーションをそろえて用意しておくことを大事にしている。

 円かの杜の館内を歩くと、ロビーラウンジや、食事処の入り口、大浴場近くのリラクゼーションルーム、蔵バー「こだま」など、さまざまなエリアで「本のある風景」と出会う。

 館内各所に置かれた本棚には、ブックディレクター・幅允孝氏がセレクトした本が並ぶ。絶版本や、限定本など、希少価値の高い本を手にして、めくるだけでも魅惑の世界が広がる。

 また、円かの杜では、さまざまな独創的なイベントが不定期で開かれるのが特徴だ。一流ミュージシャンによるミニコンサートを目当てに訪れる宿泊客も多い。

秋の夜には三味線ライブも行われた
ミニコンサート会場にもなる落ち着いたロビー
飯山雅樹専務

 秋には「和のシリーズ」第1弾として、三味線ライブが行われた。ロビーラウンジが小さな演奏会場に変わり、粋な音色の細棹三味線と艶のある唄声が、箱根の奥深い森の宿に響いた。「宿泊されたお客様には、秋の長い夜を独特の雰囲気の中で楽しんでいただけたのでは」と飯山雅樹専務取締役は語る。

 春には、日本各地の酒蔵から生まれた新酒を、宿の季節感溢れる料理とハーモニーを奏でながら楽しむイベントも開かれた。こちらも人気の企画として毎年好評を博している。

 飯山専務は「宿には遊び心が必要」と語る。「滞在されるお客様に提供できるさまざまなひきだしがあり、自由に楽しんでいただけることが大事。そのためには、こちらも楽しみながら宿づくりをしていきたい」と話す。円かの杜は訪れるたびに新しい発見がある進化し続ける宿だ。料理のメニューも毎月変え、ヘビーリピーターにも飽きさせない工夫がちりばめられている。

さまざまな音楽や文化イベントが催される

付かず離れずの接客

木の温もりと箱根の自然に囲まれた客室の露天風呂

 

 円かの杜は館内のどこを歩いても、欅や檜など飛騨の高級木材をふんだんに使った“木の美学”を感じる。

 館内の家具や、インテリアなどは主に松坂美智子女将が選ぶが、飯山専務は、設備などのメンテナンスを担当する。小さなころから建築物が好きで、大学では建築を専攻した。

 円かの杜が立地するエリアは温泉に含まれる硫黄が強いため、空調の室外機やテレビ、冷蔵庫などへの影響が大きい。温泉が通る配管の傷みなどにも目を配る。

 「お客様に快適に過ごしていただくために、施設の設備を一定レベルに保つことを心掛けている」と話す。

 一方で、「宿の評価となる満足度では、やはり人の部分が大きい」と強調する。「『接客レベルを高めていこう』という意識がスタッフの間で共有されていることが強み」と語る。「すべてのスタッフが同じ方向に向かっています」。

 基本的な宿の考え方や接客の方針は、美智子女将が方向づける。

 飯山専務は、「私たちは付かず離れずの接客が特徴」と話す。おせっかいを焼かない、「お客が必要とするときにそばにいる」スタイルだ。

 オープンして4年。「少しずつですが、宿として実績を積み上げてきている」と飯山専務は実感している。「お客様の喜ぶ言葉に、スタッフがやりがいを感じてもらえる環境を作りたい」と想いを込める。

新鮮食材を使用した朝食

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