「味のある街」「叫ばれビール」――㈲浅間高原麦酒 嬬恋高原ブルワリー(群馬県・嬬恋村)
2019年2月5日(火) 配信
「愛妻の日」をご存じだろうか。1(アイ)31(サイ)の語呂合わせから、日本愛妻家協会が1月31日に定めた記念日だ。最近では少しずつその存在が知られるようになり、この日に合わせたセールやキャンペーンなども行われている。
「愛妻」伝説に由来する名前を持つのが群馬県・嬬恋村だ。村では2006年から毎年9月に「キャベツ畑の中心で妻に愛を叫ぶ(キャベチュー)」というイベントが開かれている。
これ以外にも「愛妻」をテーマにした取り組みが行われている。14年に発足した「嬬恋村愛妻ブランド開発会議」では、村民が自ら考えてチームで討議し、さまざまな商品などのアイデアが生まれた。その一つが「キャベチュー」での「叫び」を聞かせた大麦を使って作る「叫ばれビール」だった。
日ごろ言えない妻への感謝や、愛の叫びには、素敵な成分が含まれているに違いない。男の勇気が降りかかった嬬恋村産大麦を原料とすれば、きっとピュアで力強いビールになるのではないか、という考えによって考案されたものである。アイデアを形にしたのは㈲浅間高原麦酒嬬恋高原ブルワリーの黒岩修さんだ。嬬恋高原ブルワリーは地ビール「嬬恋物語」「群馬麦酒」などを醸造している。村の特産品を素材にしたレストランも運営。また、ビールの主原料となる大麦、ホップを自社で栽培している。
17年9月に行われた「キャベチュー」の会場に黒岩さんが大麦を持ち込み、参加者たちの「叫び」を「聞かせ」た。そして18年9月の「キャベチュー」でお披露目された。エールビールで、ホップの香りと苦味がきいている。ラベルには、16年の「キャベチュー」ポスターのイラストが採用されている。18年の「キャベチュー」では、黒岩さんは会場に小麦を持ち込んだ。叫ばれビールの第2弾としてホワイトエールビールを醸造する計画だ。
今年の「愛妻の日」は過ぎてしまったが、これを飲めば特別な日でなくても、大切な人に日ごろ言えない感謝や愛を言葉にする勇気が湧くかもしれない。
(トラベルキャスター)
コラムニスト紹介
トラベルキャスター 津田令子氏
社団法人日本観光協会旅番組室長を経てフリーの旅行ジャーナリストに。全国約3000カ所を旅する経験から、旅の楽しさを伝えるトラベルキャスターとしてテレビ・ラジオなどに出演する。観光大使や市町村などのアドバイザー、カルチャースクールの講師も務める。NPO法人ふるさとオンリーワンのまち理事長。著書多数。