多言語表記の揺らぎ探せ 観光庁、初の全国一斉調査
2019年3月5日(火) 配信
観光庁はこのほど、公共交通機関の駅施設などで多言語表記に関する初の全国一斉調査を始めた。3月4日には関東運輸局とJR池袋駅―東武池袋駅で調査を実施。外国人調査員が現地を歩き、乗り継ぎ案内などで誤訳や表記の揺らぎが無いかを探した。年度内に北海道から沖縄まで計80ルートを見て回り、4月以降に調査結果を公表する見通し。急増する外国人旅行者の受入環境整備を急ぐ。
「近年、外国人旅行者数や旅行形態は大きく変化した。しっかりと現状を把握し、整理してフィードバックしていく」。観光庁の田口芳郎参事官(外客受入担当)は同日、意気込みを語った。外国人調査員は計4人が参加した。国籍は韓国と香港、タイ、ドイツで、扱う言語は英・中(繁体字・簡体字)・韓だった。
山手線ホームから改札を出て、東武東上線改札横できっぷを買い、乗車ホームに上がるまでを2巡した。調査員は頭上の乗換案内から、足下にある案内図まで目を凝らしていた。
外国人調査員からは「(券売機画面で)『インターナショナル』ボタンをタップすれば自分の言語を選べるが、この言葉を知らない人もいるし、分かりづらい。ピクトグラム(絵単語)などに変えた方がいい」など、具体的な指摘があった。
なお、全国の鉄道、バス事業者85社のホームページでも多言語表記に関する調査を実施していく。
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そもそも公共交通機関には、2005年の外客容易化法の改正で、外国語による情報提供促進措置の努力義務が課せられている。その後創設から13年経った昨年に、同法が改正された。これに基づき、従来の多言語対応を含め、努力義務内容が拡充されている。
外国人旅行者はこの間で、673万人(05年)から、3119万人(18年)に大きく増えた。同庁では改正に合わせ、新たにガイドラインを定めて、多言語対応などの目指すべきサービス水準などを提示している。同庁がまず多言語表記に関する現状を調べ、調査結果を元に各事業者に改善を促していく方向だ。