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「女将のこえ220」白鳥 和美さん、RAKO華乃井ホテル( 長野県上諏訪温泉)

2019年3月24日(日) 配信

RAKO華乃井ホテル 白鳥 和美さん

社員から女将兼社長へ

 
信濃が誇る一之宮「諏訪大社」。女神のいる下社と男神のいる上社の間に、諏訪湖はゆったりと水をたたえている。厳冬の年に現れる御神渡りは、神様の恋の道だという。

 
 RAKO華乃井ホテルは、そんな諏訪湖を望む、ビジネスと観光需要に対応する施設。物語が満載の女将兼社長を訪ねた。

 
 白鳥さんは日本体育大学で学び、保健体育の先生を夢見たが、時は就職氷河期。このホテルを見つけたのは大学4年の夏だった。「諏訪で初めてプールとフィットネスを付帯するホテルが開業を控え、社員を募集していました。ここなら、アルバイトで学んだサービスと、スポーツの学びが両方活かせると直感しました」。

 
 バレーボール、陸上、ダンスと、スポーツを通じて根性を養ってきた正真正銘の体育会系。白鳥さんは常に、「限界への挑戦」を胸に、「やる前から『ノー』はあり得ない」という精神で仕事に向き合ってきた。

 
 26年後の今、女将兼代表取締役社長に。一般社員が女将になるのも珍しければ、代取社長になるのはさらに稀だ。それだけのことをやってきた人だ、と感じる。

 
 採用して育てた社員が次々に辞めてしまった時期は、「お前がダメだからだ」と周りに非難され、悔しくて悔しくて、口の中が血だらけになった。

 
 そんなとき、諏訪の父と慕う上司が諭してくれた。「愛情は与えるだけのものだよ。返してくれなくても与え続けるんだよ」。

 
 入社5年目に若女将の命を受けた際は、女将教育をしてくれた人に、「ここで起きる事はすべてあなたの責任です」と、覚悟を持たされた。かけがえのない諏訪の母だという。

 
 数々の壁に挑んできた白鳥さんは、また新たな挑戦をしている。「忘れもしない昨年2月12日。ここ華乃井ホテルと、自社企画の土産や食事処『食祭館』、傘下となった『浜の湯』、『かめや』の4店を統括する新会社発足を、母体の井口グループのオーナーから聞かされました。しかも代表取締役は私だと。寝耳に水です(笑)」

 
 だが、ノーを言わない白鳥さんだ。異文化の4店が連携する組織を設計し、社名は諏訪湖リゾートと命名した。諏訪全体の客室の3割を持つ同社は「諏訪のGoogle」を目指す。一人勝ちではなく、他社とも連携して共に未来をつくりたいという。

 
 「家に帰ると、もう誰とも話したくないくらいの状態ですが、やっぱり限界に挑戦したい。まだまだこれから。大好きな諏訪湖で、覚悟を持ってやっていきます」。

 (ジャーナリスト 瀬戸川 礼子)

 

住所:長野県諏訪市高島2-1200-3▽客室数:155室(380人収容)、一人利用可▽創業:1992(平成4)年▽料金:素泊まり6,000円~、1泊2食付11,000円~(税別)▽温泉:単純温泉▽近くに工業エリアがありシングル主体だが、和客室も39室付帯。7月に社員や顧客、住民などが利用できる託児所を館内に併設する予定。

 

コラムニスト紹介

ジャーナリスト 瀬戸川 礼子 氏
ジャーナリスト・中小企業診断士。多様な業種の取材を通じ、「幸せのコツ」は同じと確信。働きがい、リーダーシップ、感動経営を軸に取材、講演、コンサルを行なう。著書『女将さんのこころ』、『いい会社のよきリーダーが大切にしている7つのこと」等。

 

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「「女将のこえ220」白鳥 和美さん、RAKO華乃井ホテル( 長野県上諏訪温泉)」への1件のフィードバック

  1. 初めてコメントさせていただきます。
    数年前ラコ華の井さんで柔道部の恩師の退職祝賀会で女将さんにお逢いしました。
    その節はとても綺麗な方なのに体育会系だと聞きビックリしたのを忘れもしません。
    たまに女将さんのblogを読むと、とても元気になれて、色々夢のある行動に自分事のように楽しく拝観しています。
    女将さんの大変さは数知れずだと思いますが、頑張りすぎずに女将さんの道を貫いてくださいねっ。
    そんな姿を応援しています。

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